告示の概要
本内閣府令は、子ども・子育て支援法第54条の3で準用される同法第46条第3項に基づき、「特定乳児等通園支援事業の運営に関する基準」を定める。この基準は、特定乳児等通園支援事業者が提供すべきサービスの内容、質の確保、子どもの保護者の経済的負担への配慮、人権の擁護、虐待防止、地域・関係機関との連携、利用定員の定め方、利用開始時の面談、費用徴収、会計区分、記録の整備、事故発生時の対応、情報の提供、苦情解決、掲示等に関する詳細なルールを規定している。特に、特定乳児等通園支援の利用に際しては、保護者との面談を必須とし、サービス内容や費用について書面による説明と同意を求め、経済的負担の軽減に配慮した費用設定や透明性のある会計処理を義務付けている。
解決される課題・利点
- 特定乳児等通園支援事業の運営基準を明確化することで、乳児期の子どもと保護者に対する質の高い支援サービスの提供を保証し、その健全な成長を支援するための環境を整備する。
- 特に、利用定員の明確化や利用開始時の面談義務化は、各子どものニーズに応じた適切な支援計画の策定を促し、個別支援の質を高めることに繋がる。
- また、費用徴収の透明性を確保し、保護者の経済的負担に配慮する規定は、支援の利用促進と公平性を保つ上で重要である。
- 人権の擁護や虐待防止に関する規定は、子どもが安全な環境でサービスを受けられるよう、事業者に体制整備と研修を義務付け、不適切な行為を未然に防ぐための強力な枠組みを提供する。
- さらに、地域・関係機関との連携強化は、総合的な支援体制を構築し、切れ目のないサービス提供を実現する上で不可欠な要素であり、子育て世帯が孤立することなく、必要な支援を受けられる社会の実現に貢献する。
懸念点・リスク
- 本内閣府令が定める運営基準は詳細かつ多岐にわたり、特に小規模な特定乳児等通園支援事業者にとっては、新たな基準への対応に伴う事務負担や費用増加が懸念される。
- 例えば、利用開始時の面談や詳細な運営規程の作成、記録の整備、会計区分の厳格化などは、専門知識や追加のリソースを必要とする場合がある。
- また、地域・関係機関との「密接な連携」や「質の高い支援」といった抽象的な表現は、具体的な運用において解釈のばらつきが生じ、地域間や事業者間でサービスレベルの格差が生じる可能性がある。
- 費用の透明性確保や経済的負担軽減の配慮は重要であるが、事業者の経営を圧迫する水準での費用抑制や、追加で徴収できる費用の範囲が限定されすぎると、提供されるサービスの質や多様性が損なわれる恐れもある。
- 人権擁護や虐待防止のための体制整備・研修義務も重要だが、実効性のある研修内容の確保や、万が一虐待が発生した場合の迅速な対応体制が十分に機能するかどうかは、今後の運用状況に依存する。
法令情報
- 法令番号
- ○内閣府令第九十五号
- 公布日
- 2025/11/13
- 掲載
- 号外250 11P~14P
原文
子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第五十四条の三において準用する同法第四十六条第三項の規定に基づき、特定乳児等通園支援事業の運営に関する基準を次のように定める。 令和七年十一月十三日 内閣総理大臣 高市早苗 特定乳児等通園支援事業の運営に関する基準 第一章 総則 (趣旨) 第一条 特定乳児等通園支援事業(特定乳児等通園支援(子ども・子育て支援法(以下「法」という。)第三十条の二十第一項に規定する特定乳児等通園支援をいう。以下同じ。)を行う事業をいう。以下同じ。)に係る法第五十四条の三において準用する法第四十六条第三項の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げる基準に応じ、それぞれ当該各号に定める規定による基準とする。 一 法第五十四条の三において準用する法第四十六条第二項の規定により、同条第三項第一号に掲げる事項について市町村(特別区を含む。以下同じ。)が条例を定めるに当たって従うべき基準 第三条の規定による基準 二 法第五十四条の三において準用する法第四十六条第二項の規定により、同条第三項第二号に掲げる事項について市町村が条例を定めるに当たって従うべき基準 第四条から第六条まで、第十二条、第十四条、第二十三条から第二十五条まで及び第三十条の規定による基準 三 法第五十四条の三において準用する法第四十六条第二項の規定により、同条第三項各号に掲げる事項以外の事項について市町村が条例を定めるに当たって参酌すべき基準 この府令に定める基準のうち、前二号に定める規定による基準以外のもの (一般原則) 第二条 特定乳児等通園支援事業者(法第五十四条の三に規定する特定乳児等通園支援事業者をいう。以下同じ。)は、良質かつ適切であり、かつ、子どもの保護者の経済的負担の軽減について適切に配慮された内容及び水準の特定乳児等通園支援の提供を行うことにより、全ての子どもが健やかに成長するために適切な環境が等しく確保されることを目指さなければならない。 2 特定乳児等通園支援事業者は、その提供する特定乳児等通園支援を利用する支給対象小学校就学前子ども(法第三十条の十四に規定する支給対象小学校就学前子どもをいう。以下同じ。)の意思及び人格を尊重して、常に当該支給対象小学校就学前子どもの立場に立って特定乳児等通園支援を提供するように努めなければならない。 3 特定乳児等通園支援事業者は、地域及び家庭との結び付きを重視した運営を行い、都道府県、市町村、特定教育・保育施設等(法第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設及び法第二十九条第一項に規定する特定地域型保育事業者をいう。以下同じ。)、他の特定乳児等通園支援事業者、地域子ども・子育て支援事業を行う者、児童福祉施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。 4 特定乳児等通園支援事業者は、その提供する特定乳児等通園支援を利用する支給対象小学校就学前子どもの人権の擁護、虐待の防止等のため、責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、特定乳児等通園支援事業者が特定乳児等通園支援事業を行う事業所(以下「特定乳児等通園支援事業所」という。)の職員に対し、研修の実施その他の措置を講ずるよう努めなければならない。 第二章 特定乳児等通園支援事業者の運営に関する基準 第一節 利用定員に関する基準 第三条 特定乳児等通園支援事業者は、一時間当たりの利用定員(法第五十四条の二第一項の確認において定めるものに限る。次項において同じ。)を定めるものとする。 2 特定乳児等通園支援事業者は、乳児等支援給付認定子ども(法第三十条の十六に規定する乳児等支援給付認定子どもをいう。以下同じ。)が当該特定乳児等通園支援事業者が提供する特定乳児等通園支援を利用する時間数、特定乳児等通園支援事業所が開所する日数及び時間その他の事情を考慮して一月当たりの利用定員を定めるものとする。 第二節 運営に関する基準 (面談) 第四条 特定乳児等通園支援事業者は、乳児等支援給付認定子どもに係る特定乳児等通園支援の利用の申込みを受けた後、当該乳児等支援給付認定子どもに対して最初に特定乳児等通園支援を提供しようとするときに、当該乳児等支援給付認定子ども及びその保護者の心身の状況及び当該乳児等支援給付認定子どもの養育環境を把握するための当該保護者との面談(映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながらする通話を含む。)を行わなければならない。 2 特定乳児等通園支援事業者は、前項の面談を行うに当たっては、あらかじめ、第十九条に規定する運営規程の概要、職員の勤務の体制、第十二条の規定により当該特定乳児等通園支援事業者が支払を受ける費用に関する事項その他の提供する特定乳児等通園支援に関する重要事項を記載した文書を交付しなければならない。 3 特定乳児等通園支援事業者は、第一項の面談において、前項の重要事項を説明し、当該申込みに係る特定乳児等通園支援の提供について保護者の同意を得なければならない。 (支払) 第十二条 特定乳児等通園支援事業者は、法定代理受領(法第三十条の二十第五項(法第三十条の二十一第三項において準用する場合を含む。)の規定により市町村が支払う特定乳児等通園支援に要した費用の額の一部を、乳児等支援給付認定保護者に代わり特定乳児等通園支援事業者が受領することをいう。次条において同じ。)を受けないときは、乳児等支援給付認定保護者から、当該特定乳児等通園支援に係る特定乳児等通園支援費用基準額(法第三十条の二十第三項に規定する額をいう。次項において同じ。)の支払を受けるものとする。 2 特定乳児等通園支援事業者は、前項の支払を受ける額のほか、特定乳児等通園支援の提供に当たって、当該特定乳児等通園支援の質の確保及び向上を図る上で必要であると認められる対価について、当該特定乳児等通園支援に要する費用として見込まれるものの額と特定乳児等通園支援費用基準額との差額に相当する金額の範囲内で設定する額の支払を乳児等支援給付認定保護者から受けることができる。 3 特定乳児等通園支援事業者は、前二項の支払を受ける額のほか、特定乳児等通園支援において提供される便宜に要する費用のうち、次に掲げる費用の額の支払を乳児等支援給付認定保護者から受けることができる。 一 食事の提供に要する費用 二 日用品、文房具その他の特定乳児等通園支援に必要な物品の購入に要する費用 三 特定乳児等通園支援に係る行事への参加に要する費用 四 特定乳児等通園支援事業所に通う際に提供される便宜に要する費用 五 前各号に掲げるもののほか、特定乳児等通園支援において提供される便宜に要する費用のうち、特定乳児等通園支援の利用において通常必要とされるものに係る費用であって、乳児等支援給付認定保護者に負担させることが適当と認められるもの 4 特定乳児等通園支援事業者は、前三項の費用の額の支払を受けた場合は、当該費用の額を支払った乳児等支援給付認定保護者に対し、当該費用に係る領収証を交付しなければならない。 5 特定乳児等通園支援事業者は、第二項及び第三項の金銭の支払を求める際は、あらかじめ、当該金銭の使途及び額並びに乳児等支援給付認定保護者に金銭の支払を求める理由について書面によって明らかにするとともに、乳児等支援給付認定保護者に対して説明を行い、文書による同意を得なければならない。ただし、第三項の規定による金銭の支払に係る同意については、文書によることを要しない。 (乳児等支援給付費の額に係る通知等) 第十三条 特定乳児等通園支援事業者は、法定代理受領により特定乳児等通園支援に係る乳児等支援給付費の支給を受けた場合は、乳児等支援給付認定保護者に対し、当該乳児等支援給付認定保護者に係る乳児等支援給付費の額を通知しなければならない。 2 特定乳児等通園支援事業者は、法定代理受領を行わない特定乳児等通園支援に係る費用の額の支払を受けた場合は、その提供した特定乳児等通園支援の内容、利用時間、費用の額その他必要と認められる事項を記載した特定乳児等通園支援提供証明書を乳児等支援給付認定保護者に対して交付しなければならない。 以下略