事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針
告示の概要
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」に基づき、事業主が求職活動等における性的な言動(セクシュアルハラスメント、以下セクハラ)に起因する問題に関して講ずべき雇用管理上の措置についての指針を定める。 1. **セクハラの定義と範囲**: 求職活動等におけるセクハラを、事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職活動等が阻害されるものと定義。求職活動等の具体例や性的な言動の範囲、労働者・派遣労働者の範囲を明確化。 2. **事業主と労働者の責務**: セクハラ問題への関心と理解を深め、必要な配慮を行うよう努めることを求める。 3. **事業主が講ずべき措置**: * **方針等の明確化と周知・啓発**: セクハラを行ってはならない旨、厳正に対処する旨、求職活動等に関するルールを明確化し、労働者および求職者等に周知・啓発すること。 * **相談体制の整備**: 相談窓口をあらかじめ定め、適切に対応できる担当者を配置し、相談者のプライバシーに配慮しつつ、広く相談に対応すること。 * **事後の迅速かつ適切な対応**: 事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者への配慮措置(配置転換、精神的ケア、警察への通報等)、行為者への措置(懲戒処分、謝罪等)を適正に行うこと。 * **再発防止措置**: セクハラを行ってはならない旨の方針や厳正対処の方針を改めて周知・啓発し、研修を実施すること。 4. **付随する措置**: 相談者・行為者のプライバシー保護、セクハラ相談等を理由とした不利益取扱いの禁止。 5. **望ましい取組**: 教育機関との連携、顧客等からの類似相談への対応。 6. **パワーハラスメント等に類する行為への配慮**: 求職活動等におけるパワーハラスメント等についても同様の方針を示すことを推奨。 適用は令和8年10月1日より。
解決される課題・利点
- 就職活動におけるセクシュアルハラスメント(セクハラ)によって、求職者が不当な精神的苦痛を受けたり、キャリア形成の機会を奪われたりする問題を解決することを目指します。
- これまで、就職活動中のセクハラに対する法的な保護や事業主の明確な義務が不足していたため、求職者は泣き寝入りを強いられたり、その後の就職活動に深刻な影響を受けたりするケースが後を絶ちませんでした。
- 本指針により、求職活動等におけるセクハラの定義、事業主の具体的な義務、および取るべき措置が明確化されます。
- これにより、企業は就職活動プロセスにおけるセクハラを予防し、発生時には迅速かつ適切に対処するための体制を構築しやすくなります。
- 具体的には、ハラスメント方針の明確化、相談窓口の設置、事実確認の徹底、被害者保護、行為者への懲戒措置、再発防止策といった一連のプロセスが示されることで、求職者はより安心して就職活動に取り組める環境が整備されます。
懸念点・リスク
- この指針は就職活動におけるセクハラ対策を強化する上で重要ですが、いくつかの懸念点も内包しています。
- まず、求職者という立場の脆弱性です。
- 求職者は、採用への影響を懸念してセクハラ被害を申し出にくい状況にあります。
- 指針ではプライバシー保護や不利益取扱いの禁止が謳われていますが、実質的にその権利を行使できるかは、企業文化や相談窓口の運用に大きく依存します。
- 告発後の不採用や内定取り消しといった間接的な報復のリスクは依然として存在し、これを完全に排除することは困難です。
法令情報
- 法令番号
- 厚生労働省告示第五十二号
- 公布日
- 2026/02/26
- 掲載
- 号外39 48P~51P
原文
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十三条第三項の規定に基づき、事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針を次のように定め、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律(令和七年法律第六十三号)の施行の日(令和八年十月一日)から適用することとしたので、同条第四項において準用する雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第四条第五項の規定に基づき、告示する。 (以下略)