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高重要度 法規的告示 労働 › 雇用政策
2026/02/26 (号外39)

事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

告示の概要

労働施策の総合的な推進等に関する法律の改正に伴い、カスタマーハラスメント(顧客等からの言動に起因する問題)に対する事業主の雇用管理上の措置に関する指針が新たに定められる。この指針は、顧客等からの不当な言動によって労働者の就業環境が害される「職場におけるカスタマーハラスメント」の定義を明確化し、その防止のために事業主が講ずべき具体的な措置を規定している。主な措置として、事業主の方針等の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、再発防止措置、および抑止のための措置が挙げられる。また、相談者や被害者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止も明記されている。施行は令和8年10月1日。

解決される課題・利点

  • この指針の策定は、長らく課題であったカスタマーハラスメント(カスハラ)問題に対する包括的な対応策を提示し、労働者の安全と健康、そして働きやすい職場環境の確保を促進する。
  • 従来、カスハラに対する法的枠組みが不明確であったため、事業主の対応は個々の判断に委ねられ、一貫性や実効性に欠ける場合があった。
  • 本指針により、カスハラの定義、事業主が講ずべき具体的な措置(方針の明確化、相談体制、事後対応、再発防止、抑止措置)、および労働者・顧客等に対する情報提供が明確化されることで、事業主は体系的なカスハラ対策を講じることが可能となる。
  • これにより、カスハラによる労働者の精神的・身体的負担や離職率の増加といった問題の解決に貢献し、企業の生産性向上や社会的信用の維持にも繋がる。
  • また、相談者や被害者のプライバシー保護や不利益取扱いの禁止が明記されたことで、労働者が安心して相談できる環境が整備され、問題の早期発見・解決が期待される。

懸念点・リスク

  • この指針には、いくつかの懸念点も含まれる。
  • まず、「社会通念上許容される範囲を超える」言動の判断基準が抽象的であり、個別の事案において解釈のばらつきが生じる可能性がある。
  • 特に、カスハラと正当な苦情の境界線が曖昧な場合、事業主や現場担当者の判断が困難となり、不適切な対応に繋がる恐れがある。
  • また、指針はカスハラ対策の具体的な措置を規定しているものの、これらの措置の実施には、事業主、特に中小企業にとって人的・経済的リソースの確保が課題となる。
  • 専門知識を持つ相談員の配置、研修の実施、対応マニュアルの作成などは、相応のコストと労力を要するため、十分な実施が難しい企業も出てくる可能性がある。

法令情報

法令番号
厚生労働省告示第五十一号
公布日
2026/02/26
掲載
号外39 44P~48P
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