告示の概要
この告示改正は、産業競争力強化法に基づく事業再編に関する指針の一部を改定するもの。特に、事業再編や特別事業再編における法第31条第1項・第2項に基づく特例措置の適用要件を明確化している。具体的には、特定剰余金配当(会社法第454条第1項)を伴う事業再編において、その配当株式等が金融商品取引所に上場されることを承認されていること、または上場が予定されていることを、特例措置を受けるための要件に追加する。ただし、株主が当該株式等の売却が困難な場合は適用外となる。
解決される課題・利点
- 本告示の改正は、産業競争力強化法に基づき、企業の思い切った事業再編やM&Aを促進することを目的としている。
- 特に、特定剰余金配当を活用した再編スキームにおいて、配当される株式が上場市場で取引されることで、その流動性が確保され、株主が円滑に売却できる環境が整備される。
- これにより、事業者はより柔軟な資本政策を採ることが可能となり、成長分野への投資や非効率部門からの撤退が加速される。
- これまで、特定剰余金配当が実施されても、その後の株式の流動性確保に不安がある場合、株主からの反対やM&Aの機運が損なわれるケースがあった。
- この改正は、上場を前提とすることで、株主利益の保護と再編インセンティブを両立させ、より大規模で戦略的な事業再編を後押しする。
懸念点・リスク
- 本告示の改正は、特定剰余金配当を伴う事業再編において、配当株式の上場を特例措置の要件とするが、これにはいくつかの懸念点が含まれる。
- まず、特定剰余金配当株式の上場が承認されるか、または上場が予定されることを要件とすることで、上場基準を満たせない中小企業やスタートアップ企業にとっては、この特例措置の恩恵を受けにくくなる可能性がある。
- これにより、真に競争力強化が必要な企業群の一部が、事業再編のインセンティブから取り残されるリスクがある。
- 次に、「株主が特定剰余金配当により交付を受ける特定剰余金配当株式等の売却をするが困難な場合を除く」という例外規定があるものの、「売却が困難な場合」の具体的な判断基準が不明確であるため、運用上で解釈の曖昧さや恣意性が生じる可能性がある。
- これが、特例措置の公平性や透明性を損なう原因となる懸念がある。
法令情報
- 法令番号
- 財務・経済産業省告示第十号
- 公布日
- 2025/07/02
- 掲載
- 本紙1498 2P~3P
原文
経済産業省 法規的告示 各務省告示第十号 産業競争力強化法(平成二十五年法律第九十八号)を実施するため、事業再編の実施に関する指針 の一部を改正する告示を次のように定める。 令和七年七月二日 事業再編の実施に関する指針の一部を改正する告示 財務大臣 加藤勝信 経済産業大臣武藤容治 事業再編の実施に関する指針(平成二十六年財務省・経済産業省告示第一号)の一部を次のように 改正する。 改 正 後 六 その他事業再編に関する重要事項 イ~ニ [略] ホ事業者が事業再編又は特別事業再編を 実施するに当たり、法第三十一条第一項 の規定による会社法第三百九条第二項、 第四百五十九条第一項及び第四百六十条 第一項の規定の適用についての特例措置 並びに法第三十一条第二項の規定による 特例措置を受けようとする場合 事業者は、一の事業再編による生産性 及び財務内容の健全性の向上に関する目 標の設定に関する事項又は三の特別事業 再編による生産性の向上及び財務内容の 健全性の向上並びに四の需要の開拓に関 する目標の設定に関する事項に定める目 標等の必要な要件に加え、特定剰余金配 当に係る会社法第四百五十四条第一項の 規定による決定に係る株主総会又は取締 役会の決議において金融商品取引所が特 定剰余金配当株式等をその売買のため上 場することを承認したことを当該特定剰 余金配当がその効力を生ずることの条件 とする場合その他の特定剰余金配当の効 力が生ずる日の前日までに、又は当該効 力が生ずる日後遅滞なく、特定剰余金配 当株式等が金融商品取引所に上場される ことが予定されている場合(当該事業者 の株主が特定剰余金配当により交付を受 ける特定剰余金配当株式等の売却をする ことが困難な場合を除く。)に限り、法第 三十一条第一項の規定による会社法第三 百九条第二項、第四百五十九条第一項及 び第四百六十条第一項の規定の適用につ いての特例措置並びに法第三十一条第二 項の規定による特例措置を受けることが できる事業再編計画又は特別事業再編計 画の認定(変更の認定を含む。)を受ける ことができるものとする。 附則 この告示は、令和七年七月二日から施行する。