告示の概要
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づき、生物学的製剤基準の一部が改正された。この改正では、特に経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの試験方法が見直され、遺伝的安定性試験の適合条件や弱毒性試験におけるフェレットを用いた評価方法が変更・追加された。
解決される課題・利点
- この告示は、生物学的製剤、特に経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの品質管理と安全性の確保に関する基準を現代の科学的知見と技術進歩に合わせて更新することを目的としている。
- 従来の基準では不十分であった、またはより詳細な評価が必要とされていた分野において、試験方法の具体化と厳格化を図ることで、製造されるワクチンの有効性と安全性をより高いレベルで保証できるようになる。
- 例えば、遺伝的安定性試験におけるアミノ酸変異の評価基準や、弱毒性試験における動物を用いた感染価測定基準の導入は、ワクチンの安定性や生体内での挙動をより精密に予測・評価することを可能にする。
- これにより、市場に流通する医薬品の品質に対する国民の信頼を高め、ひいては公衆衛生の向上に寄与することが期待される。
- また、国際的な基準との整合性を図ることで、医薬品開発の国際競争力を維持・向上させる側面も持ち合わせていると考えられる。
懸念点・リスク
- 今回の改正は、医薬品の品質と安全性を向上させることを目指しているが、新たな試験方法の導入や基準の厳格化は、製薬企業に対して新たな技術的・経済的負担を課す可能性がある。
- 特に、フェレットを用いた弱毒性試験のような動物実験の追加や、遺伝子解析の詳細化は、研究開発コストの増加や、製造プロセスの変更を伴う可能性がある。
- これにより、中小規模の製薬企業にとっては、これらの新しい基準への対応が困難となり、市場からの撤退を余儀なくされるケースも考えられる。
- また、動物実験の増加は、倫理的な観点からの批判を招く可能性もある。
- さらに、基準の厳格化が、かえって新薬開発のスピードを鈍化させ、革新的な医薬品が市場に出るまでの時間を長期化させる懸念も存在する。
法令情報
- 法令番号
- ○厚生労働省告示第二百五号
- 公布日
- 2025/07/23
- 掲載
- 本紙1512 1P~2P
原文
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十 五号)第四十二条第一項の規定に基づき、生物学的製剤基準(平成十六年厚生労働省告示第百五十五 号)の一部を次の表のように改正する。 令和七年七月二十三日 厚生労働大臣 福岡 資麿 (傍線部分は改正部分) 医薬品各条 (略) 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン 1.2 (略) 3 試験 3.1 シードロットの試験 3.1.1 遺伝的安定性試験 発育鶏卵で5代継代培養し、最終継代ウ イルス遺伝子配列を適当な方法により解 析するとき、既知の遺伝子座において低温 馴化,温度感受性又は弱毒性表現型に影響 するアミノ酸変異を認めてはならない。こ の試験に適合しない場合にあっても、最終 継代ウイルスについて3.3.2及び3. 3を準用した弱毒性試験及び表現型試 験に適合するときは、この試験に適合とみ なす。 3.2 (略) 3.3 原液の試験 3.3.1 (略) 3.3.2 弱毒性試験 試験には、ワクチンに含まれるインフル エンザウイルスに対する抗体が検出されな いフェレットを用いる。8~10週齢のフェ レット3匹以上に、1匹当たり適当な濃度 に希釈した試料1mLを経鼻接種して、3 日間以上観察するとき、いずれの動物もイ ンフルエンザ様症状を示してはならない。 最終観察後、動物から鼻甲介及び肺でのウ イルス感染価あるいは血清を用いた抗体価 を測定するとき、承認された判定基準に適 合しなければならない。 以下略