告示の概要
雇用保険法施行規則の改正は、「短時間労働者労働時間延長コース助成金」を「社会保険適用時処遇改善コース助成金」または「短時間労働者労働時間延長支援コース助成金」に改め、社会保険の適用拡大に伴う企業の対応を支援する。特に、未加入者が新たに社会保険に加入する際の賃金増額や労働時間延長と賃金増額の組み合わせを条件とした助成金制度が新設される。支給要件として、キャリアアップ管理者配置や計画提出が義務付けられ、助成額は中小企業事業主とそれ以外の事業主で異なる。施行は令和7年7月1日からだが、社会保険適用時処遇改善コース助成金の支給期間は令和8年3月31日まで。
解決される課題・利点
- この省令改正は、社会保険の適用拡大に伴う企業の負担増と短時間労働者の待遇改善という二つの主要な課題を解決する。
- 社会保険適用時処遇改善コース助成金の新設により、これまで社会保険に未加入だった短時間労働者が新たに加入する際の賃金増額や労働時間延長を企業が実施しやすくなる。
- これにより、企業は社会保険料の負担増を緩和しつつ、従業員の社会保険加入を促進できる。
- 短時間労働者にとっては、社会保険への加入を通じて、将来の年金受給資格や医療保険、傷病手当金といったセーフティネットが強化され、経済的な安定と安心感が向上する。
- また、キャリアアップ管理者の配置や計画提出の義務付けは、企業が短期的な助成金獲得だけでなく、中長期的な視点での従業員育成や労働条件改善に取り組むインセンティブとなる。
懸念点・リスク
- 今回の省令改正にはいくつかの懸念点が存在する。
- まず、助成金制度の複雑さが挙げられる。
- 複数のコースや支給要件、助成額の計算方法があるため、中小企業が制度を十分に理解し、申請手続きを適切に行うには一定の労力と専門知識が必要となる。
- これが申請率の低迷や、制度利用の偏りを招く可能性がある。
- 次に、助成金支給期間が社会保険適用時処遇改善コースの場合、令和8年3月31日までと限定されている点が挙げられる。
法令情報
- 法令番号
- 厚生労働省令第七十一号
- 公布日
- 2025/07/01
- 掲載
- 号外149 15P~17P
原文
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十二条第二項の規定に基づき、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令を次のように定める。 厚生労働大臣 福岡 資麿 令和七年七月一日 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令 雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)の一部を次の表のように改正する。 [主な改正点] - 「短時間労働者労働時間延長コース助成金」を「社会保険適用時処遇改善コース助成金」または「短時間労働者労働時間延長支援コース助成金」に改め、適用を当分の間と規定。社会保険適用時処遇改善コースは令和8年3月31日までの期間支給。 - 社会保険適用時処遇改善コース助成金の支給要件として、有期契約労働者等について、キャリアアップ管理者配置、キャリアアップ計画提出に加え、健康保険・厚生年金保険の被保険者でない者が新たに被保険者となる場合における、賃金増額(15%以上または18%以上)または所定労働時間延長と賃金増額の組み合わせ(例:週4時間以上延長、週3時間以上4時間未満延長かつ賃金5%以上増額、週2時間以上3時間未満延長かつ賃金10%以上増額、週1時間以上2時間未満延長かつ賃金15%以上増額)の措置を追加。 - 短時間労働者労働時間延長支援コース助成金の支給要件も同様に、被保険者でない者が新たに被保険者となる場合における、所定労働時間延長(週5時間以上)または所定労働時間延長と賃金増額の組み合わせ(例:週4時間以上5時間未満延長かつ賃金5%以上増額、週3時間以上4時間未満延長かつ賃金10%以上増額、週2時間以上3時間未満延長かつ賃金15%以上増額)の措置を追加。 - 助成額についても、中小企業事業主とそれ以外の事業主で異なる設定。 附則 第一条 この省令は、令和七年七月一日から施行する。 第二条 この省令の施行の日から令和八年三月三十一日までの間は、社会保険適用時処遇改善コース助成金及び短時間労働者労働時間延長支援コース助成金のほか、この省令による改正後の雇用保険法施行規則(以下この条において「新雇保則」という。)附則第十七条の二の七第二項第一号(ハを除く。)に該当する事業主であって、次の各号のいずれかに該当するものに対し、それぞれ当該各号に定める額(一の事業所において、対象者一人につき、当該各号に掲げる額のいずれかの額)を支給するものとする。 (以下略)