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政令
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2025/07/18 (号外165)
日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国の軍隊との間における協定の実施に関する法律施行令
告示の概要
日本国の自衛隊と他国軍隊との相互アクセス円滑化に関する法律に基づき、オーストラリア、イギリス、フィリピンとの協定を「円滑化協定」と定め、関連する訴訟援助(費用立替え、資料収集、弁護士紹介・あっせん、助言)、償還金支払の猶予・免除の申請手続き、基準、財務大臣協議について詳細を規定した。また、過去の関連政令を廃止し、自動車損害賠償保障法施行令と防衛省組織令を改正する。本政令は、法律の施行日である令和7年7月22日から施行される(フィリピンとの協定に関する規定は当該協定発効日から)。
解決される課題・利点
- この政令は、日本と主要同盟国(オーストラリア、イギリス、フィリピン)との間で締結された相互のアクセス協定を具体的に運用するための法的枠組みを詳細に定めることで、自衛隊と他国軍隊との間の連携を飛躍的に向上させる。
- 特に、訴訟援助の規定は、共同訓練や活動中に発生する可能性のある法的紛争に対する不安を軽減し、隊員が任務に専念できる環境を整備する。
- また、償還金猶予・免除の規定は、経済的困難に直面した隊員を保護し、安心して活動に従事できる基盤を提供する。
- これにより、防衛協力の円滑化が図られ、地域及び国際社会の安全保障への貢献が強化される。
- 過去の関連政令を廃止し、新たな政令に一本化することで、法運用の明確性と効率性も高まる。
懸念点・リスク
- 訴訟援助の範囲や償還金猶予・免除の適用基準が、恣意的に運用される可能性がないかという懸念がある。
- 特に「明らかに勝訴の見込みがないと認められる場合」に援助を行わないとする規定は、解釈によっては援助対象を不当に狭める可能性があるため、運用ガイドラインの明確化が不可欠である。
- また、中小企業者以外の者が提起する訴訟や賠償請求額に比して費用が多額である場合の援助制限は、特定の被害者が十分な法的支援を受けられない可能性を生む。
- さらに、財務大臣との協議が必要とされる点も、手続きの透明性確保のため、その協議内容や判断基準が明確に公開されるべきである。
- 関係政令の廃止や他政令の改正に伴い、法体系全体の整合性を維持しつつ、実務上の混乱が生じないよう、関係機関間での密な連携と周知徹底が求められる。
法令情報
- 法令番号
- 政令第二百六十一号
- 公布日
- 2025/07/18
- 掲載
- 号外165 4P~5P
原文
内閣は、日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国の軍隊との間の協定の実施に関する法律(令和七年法律第二十六号)第二条第一号、第十七条第一項及び第十八条ただし書の規定に基づき、この政令を制定する。 (円滑化協定) 第一条 日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国の軍隊との間の協定の実施に関する法律(以下「法」という。)第二条第一号の政令で定める国際約束は、次のとおりとする。 一 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定 二 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定 三 日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定 (訴訟の援助の申請等) 第二条 法第十七条第一項に規定する訴訟(以下「訴訟」という。)についての同項の規定による援助(以下「訴訟の援助」という。)を受けようとする者は、防衛大臣にその旨を申請しなければならない。 2 防衛大臣は、前項の規定による申請があったときは、次条及び第四条の規定に従い、訴訟の援助を行う。 (訴訟の援助の範囲) 第三条 訴訟の援助のうち、訴訟に関する費用の立替えは、次に掲げる費用についてそれぞれ防衛大臣が必要と認める限度において行う。 一 裁判所に納付すべき手数料その他の費用 二 弁護士又は弁護士法人に支払うべき報酬その他の費用 三 前二号に掲げるもののほか、訴訟に関し必要な費用 2 防衛大臣は、前項第三号に掲げる費用の立替えを行おうとするときは、財務大臣に協議しなければならない。 3 訴訟の援助のうち、訴訟に関する費用の立替え以外のものは、次に掲げる事項について行う。 一 立証資料その他の関係資料で防衛大臣が必要と認めるものを収集し、又は整備すること。 二 弁護士又は弁護士法人を紹介し、又はあっせんすること。 三 前二号に掲げるもののほか、訴訟に関し助言その他必要な援助を行うこと。 (訴訟の援助を行わない場合) 第四条 訴訟の援助は、第二条第一項の規定による申請に係る訴訟が明らかに勝訴の見込みがないと認められる場合には、行わない。 2 前項に規定するもののほか、訴訟の援助のうち、訴訟に関する費用の立替えは、第二条第一項の規定による申請に係る訴訟が次の各号のいずれかに該当する場合には、行わない。ただし、防衛大臣が特に必要があると認めた場合は、この限りでない。 一 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第二条第一項に規定する中小漁業者等及び中小企業団体の組織に関する法律(昭和三十二年法律第百八十五号)第五条に規定する中小企業者以外の者が提起する訴訟である場合 二 前号に掲げる場合のほか、訴訟に関する費用の額が多額であるため、その額が当該訴訟に係る賠償の請求額に比して不均衡であると認められる訴訟である場合 (償還金の支払の猶予等の申請等) 第五条 法第十八条ただし書の規定により償還金の支払の猶予又は立替金の償還の免除を受けようとする者は、防衛大臣にその旨を申請しなければならない。 2 防衛大臣は、前項の規定による申請があったときは、次条から第十条までの規定に従い、法第十八条ただし書の規定により償還金の支払の猶予又は立替金の償還の免除を行う。 (償還金の支払の猶予) 第六条 法第十八条ただし書の規定による償還金の支払の猶予は、訴訟の援助として訴訟に関する費用の立替えを受けた者(以下この条及び第九条において「債務者」という。)が次の各号のいずれか に該当し、かつ、当該償還金を支払うことが一時的に困難となっていると認められる場合(債務者が法第十八条ただし書の規定により償還金の支払の猶予を受けている場合にあっては、当該償還金を支払うことができる見込みがないと認められる場合を含む。)に限り、行うものとする。 一 債務者に係る訴訟について、その者の敗訴が確定した場合 二 債務者に係る訴訟について、我が国以外の締約国から給付を受けた訴訟に関する費用に相当する費用の額が当該訴訟について政府の立て替えた訴訟に関する費用の額より少ない場合 (償還金の分割支払) 第七条 防衛大臣は、法第十八条ただし書の規定により償還金の支払の猶予を行う場合には、当該償還金の額を適宜分割してその支払期限を定めることができる。 (支払期限後における償還金の支払の猶予) 第八条 防衛大臣は、償還金の支払期限(法第十八条ただし書の規定による償還金の支払の猶予後の一支払期限及び前条の規定により定められた支払期限を含む。)後においても、当該償還金について法第十八条ただし書の規定により償還金の支払の猶予を行うことができる。この場合においては、既に発生した支払の遅滞に係る損害賠償金は、徴収すべきものとする。 (立替金の償還の免除) 第九条 法第十八条ただし書の規定による立替金の償還の免除は、同条ただし書の規定により償還金の支払の猶予を受けた債務者以外の債務者にあっては、第六条各号のいずれかに該当し、及び償還金の支払期限において、無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、償還金を支払うことができることとなる見込みがないと認められる場合に、法第十八条ただし書の規定により償還金の支払の猶予を受けた債務者にあっては、当初の支払期限から十年を経過した後において、無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、償還金を支払うことができることとなる見込みがないと認められる場合に限り、行うものとする。 (財務大臣への協議) 第十条 防衛大臣は、法第十八条ただし書の規定により償還金の支払を猶予し、又は立替金の償還を免除しようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。 附則 (施行期日) 第一条 この政令は、法の施行の日(令和七年七月二十二日)から施行する。ただし、第一条第三号の規定は、日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定が日本国について効力を生ずる日から施行する。 (関係政令の廃止) 第二条 次に掲げる政令は、廃止する。 一 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律施行令(令和五年政令第二百五十五号) 二 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律施行令(令和五年政令第二百五十六号) (自動車損害賠償保障法施行令の一部改正) 第三条 自動車損害賠償保障法施行令(昭和三十年政令第二百八十六号)の一部を次のように改正する。 第一条の二第四号を次のように改める。 四 日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国の軍隊との間の協定の実施に関する法律(令和七年法律第二十六号)第二条第二号に規定する締約国軍隊 その任務の遂行に必要な業務 第一条の二第五号を削る。 (防衛省組織令の一部改正) 第四条 防衛省組織令(昭和二十九年政令第百七十八号)の一部を次のように改正する。 第九条第二十号を次のように改める。 二十 日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国の軍隊との間における協定の実施に関する法律(令和七年法律第二十六号)第十二条又は第十三条の規定に基づく請求の処理及び同法第五章の規定による特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関すること。 第四十六条第六号を次のように改める。 六 日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国の軍隊との間における協定の実施に関する法律第十二条又は第十三条の規定に基づく請求の処理及び同法第五章の規定による特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関すること。