告示の概要
金融商品取引法に基づき、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する省令。主な改正点は、リースに関する注記および金融商品に関する注記の見直しで、特に、リース会計における「借手」の定義を「企業」から「者」に変更し、セール・アンド・リースバック取引における貸手の定義も同様に変更された。また、組合等への出資に関する注記において、市場価格のない株式等の時価評価に基づく会計処理を行っている場合の開示要件が追加された。連結財務諸表規則も同様の改正が行われている。
解決される課題・利点
- この省令改正は、企業会計におけるリース取引及び金融商品の開示に関する明確性と透明性を向上させることを目的としています。
- 特に、リース会計基準における「借手」の定義を「企業」から「者」へと拡大することで、個人事業主やその他の法人格を持たない「者」が借手となるリース取引についても、これまで不明確であった開示の要否が明確化され、適用範囲が広がることで、より実態に即した財務情報提供が可能になります。
- これにより、投資家やその他のステークホルダーは、企業のリース関連の債務や権利義務をより正確に把握できるようになり、意思決定の信頼性が向上します。
- また、セール・アンド・リースバック取引における貸手の定義変更も、取引の実態を適切に反映した開示を促し、会計処理の一貫性を確保します。
- 組合等への出資に関する注記の追加により、市場価格のない株式を含む出資についても時価評価に基づく会計処理の実態が開示されるため、非公開株式などの評価が難しい資産に対する投資状況の透明性が向上し、投資家はより詳細な情報を得てリスク評価を行えるようになります。
懸念点・リスク
- この省令改正によって、企業は新たな開示要件に対応するためのシステムやプロセスの変更が必要となり、特にリース取引や組合等への出資に関する情報の収集・整理・開示には、一定のコストと労力が発生する可能性があります。
- 特に、リース契約の数が多く、多様な形態で取引を行っている企業や、市場価格のない株式を含む組合等への出資を多く持つ企業にとっては、その負担が大きくなる可能性があります。
- また、新たに「者」という概念が導入されたことで、具体的な適用範囲や解釈において、一時的に混乱が生じる可能性も考えられます。
- 特に、異なる法人形態の借手や貸手が存在する場合において、会計処理の統一性や比較可能性を確保するための実務的なガイドラインやFAQが求められるでしょう。
- さらに、時価評価が困難な市場価格のない株式に関する開示は、評価の恣意性を排除し、客観性を確保するための基準の明確化が不可欠です。
法令情報
- 法令番号
- 内閣府令第七十五号
- 公布日
- 2025/08/22
- 掲載
- 号外190 1P~7P
原文
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第百九十三条の規定に基づき、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令を次のように定める。 令和七年八月二十二日 内閣総理大臣 石破 茂 (財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正) 第一条 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)の一部を次のように改正する。 次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分をこれに順次対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分のように改める。 (リースに関する注記) 第八条の六 リースについては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項を注記しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。 [略] 一 財務諸表提出会社が借手(リースにおいて原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に獲得する者をいう。以下この項、第八条の三十第一項及び第二項並びに第十六条の二第一項において同じ。)である場合 次のイからハまでに掲げる情報の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項 [略] (金融商品に関する注記) 第八条の六の二 [略] [略] 3 第一項本文の規定にかかわらず、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。以下この項において「組合等」という。)への出資については、第一項第二号に掲げる事項の記載を要しない。この場合には、その旨及び当該出資の貸借対照表計上額の合計額を注記しなければならない。ただし、組合等の構成資産に含まれる全ての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く。第百三十八条第六項において同じ。)について時価をもつて評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とする取扱いを行つている場合には、その旨、当該取扱いを行う組合等の選択に関する方針及び当該取扱いを行つている組合等への出資の貸借対照表計上額の合計額を併せて注記するものとする。 以下略