告示の概要
この告示は、ガス事業法施行規則に基づき、合成メタン(合成メタンまたはバイオガス)の調達費用について、経済産業大臣による承認を得るための基準を定めるものである。承認基準は、調達費が低炭素ガスの生成・調達に係る費用から液化天然ガスの費用を控除した額であり、かつその費用が建設費、事業運営費、税金、適正利潤、市場価格、為替相場、消費者物価指数、液化天然ガス価格など様々な要素を考慮して適正かつ合理的に算定されていること、および、ガス小売事業者が調達・導管に注入する合成メタン等の量が、ガス小売供給量の5%相当量以下であることを求めている。
解決される課題・利点
- 本告示により、合成メタンやバイオガスの調達費用について、経済産業大臣の承認を得るための具体的な基準が明確化される。
- これにより、ガス小売事業者は低炭素ガス導入に伴うコストを適正に算定し、その費用回収の道筋が明確になる。
- これは、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律」に基づき、国が推し進める低炭素ガスの普及を実質的に後押しする。
- 事業者は、コスト回収の不確実性が減少することで、安心して低炭素ガスへの投資を行いやすくなる。
- また、調達費の算定基準に建設費、事業運営費、適正利潤などが含まれることで、サプライチェーン全体での持続可能な低炭素ガス供給体制の構築が促進される。
懸念点・リスク
- 本告示は低炭素ガスの導入を促進する一方で、いくつかの懸念点を内包している。
- 第一に、合成メタン等の調達費用から液化天然ガスの費用を控除する算定方法が、実際の市場価格変動や調達状況にどれだけ柔軟に対応できるかという点である。
- 特に、液化天然ガス価格は国際情勢に左右されやすく、その変動が低炭素ガスの調達費用承認額にどのように影響するかが不透明である。
- 第二に、ガス小売供給量の5%という上限設定は、初期段階の導入としては妥当かもしれないが、将来的な脱炭素化目標達成に向けて十分な柔軟性があるか疑問が残る。
- 技術開発やコスト低減が進んだ場合、この上限が足枷となり、さらなる導入拡大を阻害する可能性も考えられる。
法令情報
- 法令番号
- 経済産業省告示第百十号
- 公布日
- 2025/07/14
- 掲載
- 号外161 61P~62P
原文
経済産業省告示第百十号 ガス事業法施行規則(昭和四十五年通商産業省令第九十七号)第二十条の三第三項の規定に基づき、合成メタン等調達費の額の承認に係る基準を次のように定め、令和七年七月十五日から施行する。 令和七年七月十四日 経済産業大臣 武藤容治 合成メタン等調達費の額の承認に係る基準 第一条 この告示において使用する用語は、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)及びガス事業法施行規則(昭和四十五年通商産業省令第九十七号。以下「施行規則」という。)において使用する用語の例による。 (合成メタン等調達費の額の承認申請の適合基準) 第二条施行規則第二十条の三第三項の告示で定める基準は、次に掲げるものとする。 一 合成メタン等調達費の額が、合成メタン等(合成メタン又はバイオガスをいう。以下同じ。)の生成その他調達に係る費用に相当する額から、調達する合成メタン等の総熱量に熱量換算した量の液化天然ガスの費用に相当する額(液化天然ガス(輸入されたものに限る。)の円建て貿易統計価格(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)百二条第一項第一号の規定に基づく統計により認識することができる価格をいう。第二号チにおいて同じ。)の直近一年間の平均値に基づいて算定される額)を控除したものとなっていること。 二 前号に規定する合成メタン等の生成その他調達に係る費用に相当する額が、次に掲げる事項を勘案して適正かつ合理的に定められていること。 イ 合成メタン等の供給に必要な水素の製造、合成メタンの生成、エネルギーを運搬するための物質又は方法の変換、輸送及び二酸化炭素(二酸化炭素がその大部分を占める流体を含む。)の貯留等に係る設備の建設費の算定額を合計した費用 ロ 合成メタン等の供給の開始後に発生する合成メタン等の継続的な供給に必要な一酸化炭素又は二酸化炭素及び水素の調達、製造、液化及び輸送又は合成メタン等の生成、液化及び輸送等に係る事業運営費に、必要に応じて、費用が発生する国の適切な消費者物価指数の比を乗じたもの ハ 合成メタン等の供給事業の実施に係る法人税及び固定資産税等 ニ 合成メタン等を生成しようとする者が受けるべき適正な利潤 ホ 合成メタン等を供給しようとする者が受けるべき適正な利潤 へ 合成メタン等に係る調達契約によりイからホまでに規定する事項を示すことができない場合にあっては、合成メタン等又は水素その他の合成メタン等の原料の市場価格 ト 合成メタン等の生成その他調達に係る費用に相当する額が、必要に応じて、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条に基づき、財務大臣が告示する本邦通貨の基準外国為替相場又は外国通貨の本邦通貨に対する裁定外国為替相場(チにおいて「為替相場」という。)に基づいて算定されていること。 チ 過年度における為替相場、費用が発生する国の適切な消費者物価指数、液化天然ガス(輸入されたものに限る。)の円建て貿易統計価格の平均値の額及びルに規定する量等に基づいて算定された合成メタン等調達費に係る費用 リ 一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者から払い渡された合成メタン等調達費相当金の実績の額 ヌ ガス小売事業者が調達して導管に注入する合成メタン等の総量(合成メタン等の生成その他調達に係る費用に相当する額の算出の際に用いるものに限る。) ル 過年度にガス小売事業者が調達して導管に注入した合成メタン等の総量(合成メタン等の生成その他調達に係る費用に相当する額の算出の際に用いるものに限る。) 三 ガス小売事業者が調達して導管に注入する合成メタン等の量(合成メタン等調達費に係るものに限る。)又はガス小売事業者が調達して導管に注入した合成メタン等の量(合成メタン等調達費に係るものに限る。)が、次に掲げる事項を満たすこと。 イ 各年度にガス小売事業者が調達して導管に注入する合成メタン等の量がガス小売事業者のガス小売供給量の5%相当量以下であること。 ロ 各過年度にガス小売事業者が調達して導管に注入した合成メタン等の量がガス小売事業者のガス小売供給量の5%相当量以下であること。 以下略