高重要度
法規的告示
産業 › 中小企業支援
2025/11/19 (号外254)
小規模事業者の経営の改善発達を支援するための商工会及び商工会連合会並びに商工会議所及び日本商工会議所に対する基本指針
告示の概要
小規模事業者の経営改善・発展を支援するための商工会等に対する基本指針が改正される。現代の経済環境変化(賃上げ、人手不足、物価高騰、自然災害など)に対応し、小規模事業者の「稼ぐ力」を高めるため、デジタル技術活用を含む経営リテラシー向上、事業継続力強化を支援する方針を明確化。特に広域的な支援体制の構築と経営指導員の専門性強化が重視される。経営改善普及事業の内容として、金融・税務・経理・販売管理・労務・技術改善、事業継続力強化、起業・創業、経営革新、事業承継・廃止支援、情報収集提供などが挙げられ、各支援計画の策定・実行・評価における具体的な留意事項が示されている。また、経営指導員の資質向上、事業の公平性確保、地方公共団体や関係機関との連携、および商工会法・商工会議所法との関係性についても言及されている。この基本指針は令和7年11月20日から施行され、従来の指針は廃止される。
解決される課題・利点
- この基本指針の改正は、現代の経済環境が急速に変化する中で、小規模事業者が直面する複合的な課題(賃上げ、人手不足、物価高騰、自然災害リスク、後継者不足、デジタル化の遅れなど)を一元的に解決することを目指しています。
- 特に「稼ぐ力」の向上を目的とした経営リテラシー強化、デジタル技術活用、事業継続力強化への重点的な支援は、事業者の持続可能性を高め、地域経済の活性化に不可欠です。
- 広域経営指導体制の構築と経営指導員の専門性強化は、個々の商工会では対応困難だった高度な経営課題や広域的なニーズに対応できる体制を整備し、より質の高い専門的な支援を提供することで、小規模事業者の競争力向上に貢献します。
- また、明確なガイドラインと支援プロセスの明示は、支援を受ける事業者側が効果的な支援を効率的に活用できる環境を整備し、行政や支援機関の連携を促進します。
懸念点・リスク
- この基本指針の改正は多岐にわたる課題解決を目指す一方で、その実効性には複数の懸念点が内包されています。
- まず、経営指導員の専門性強化や広域連携体制の構築は、短期間で実現できるものではなく、指導員の確保・育成や関係機関との調整に時間とコストがかかります。
- 特に地方では、必要な専門人材の確保が困難な場合があり、結果として支援の質や提供範囲に地域差が生じる可能性があります。
- また、デジタル技術活用や経営リテラシー向上といった新たな支援内容は、デジタルデバイドに直面する高齢の経営者やITに不慣れな事業者にとっては、新たな負担や障壁となる可能性があります。
- さらに、基本指針が「指導」や「助言」の範囲に留まる場合、具体的な資金援助や法的な強制力を持たないため、事業者の抜本的な課題解決には限界があるかもしれません。
法令情報
- 法令番号
- 経済産業省告示第百六十九号
- 公布日
- 2025/11/19
- 掲載
- 号外254 38P~41P
原文
商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(平成五年法律第五十一号。以下「法」 という。)第三条第一項の規定に基づき、小規模事業者の経営の改善発達を支援するための商工会及び 商工会連合会並びに商工会議所及び日本商工会議所に対する基本指針を次のとおり定めたので、同条 第四項の規定に基づき公表し、令和七年十一月二十日から施行する。なお、小規模事業者の経営の改 善発達を支援するための商工会及び商工会連合会並びに商工会議所及び日本商工会議所に対する基本 指針(令和元年経済産業省告示第六十号)は、令和七年十一月十九日限り廃止する。 令和七年十一月十九日経済産業大臣赤澤亮正 第一小規模事業者の経営の改善発達の基本的な方向 本指針は、商工会及び商工会連合会並びに商工会議所及び日本商工会議所(以下「商工会等」とい う。)が小規模事業者の経営の改善発達の支援に関する事業を実施するに当たって、必要な事項を定め るものである。 小規模事業者の経営をめぐる環境は、「大幅な賃上げ」、「少子高齢化・人口減少」、「人手不足」の ほか、「経営者の高齢化・後継者不足」、「原材料・エネルギーコスト等の上昇」、「五十年ぶりの円安 水準」、「自然災害の頻発化・激甚化」など、急速かつ大規模な変化を遂げている。 こうした中で、小規模企業振興基本法(平成二十六年法律第九十四号)第十三条に基づく小規 模企業振興基本計画の見直しが行われ、令和七年に小規模企業振興基本計画(第Ⅲ期)が制定さ れ、小規模事業者の「稼ぐ力」を高める好機と捉え、従来型のビジネスモデルを見直し、小規模 事業者の特性、強みを踏まえ、経営資源・地域資源の活用や地域課題の解決等により見込まれる 新たな需要の獲得を行うとともに、そのような需要を見据えたデジタル技術の活用を含む経営リ テラシーの向上を図るよう支援を実施する必要がある。 また、こうした小規模事業者の経営の自走化のためには、特に小規模事業者にとって身近で重 要な存在である商工会等による手厚い支援が重要であり、その支援の質の向上、業務効率化、広 域的な支援体制の構築等により、小規模事業者の支援体制の充実を図っていく必要がある。 そして、近年、頻発化・激甚化する自然災害はもとより、感染症、サイバー攻撃等による被害 の軽減や早期の復旧を図るため、小規模事業者の事業継続力の強化を促していく必要がある。 なお、特に小企業者(小規模企業振興基本法第二条第二項に規定するおおむね常時使用する従 業員の数が五人以下の事業者をいう。)の支援に当たっては、小企業者の円滑かつ着実な事業の運 営が確保されるよう特段の配慮を払う必要がある。 第一経営改善普及事業の内容 1.経営改善普及事業は、主として以下の各項目に掲げるものとする。 金融、税務、経理、販売管理、労務、技術の改善、事業継続力強化、起業・創業、経営の発 達、経営革新、事業の円滑な承継又は事業の継続が見込まれない場合の円滑な廃止その他各種 制度(国の各府省庁、地方公共団体及び民間事業者のものを含む。以下同じ。)も活用しつつ行 う経営に関するきめ細かな指導、あっせん等 経営、技術、各種制度等に関する情報又は資料の収集及び提供 2.経営改善普及事業の実施に当たって留意すべき点 商工会及び商工会議所は経営改善普及事業の実施に当たり以下の点につき留意する必要があ る。 商工会及び商工会議所は、経営改善普及事業の実施に当たり、関係する地方公共団体や支援 機関と連携し、地域の特性や産業ビジョンを踏まえた事業が実施できる支援体制を構築するこ と。 地域の特性や産業ビジョン等に応じて、広域的な支援を行うことが効果的である場合には、 複数の商工会若しくは都道府県商工会連合会、商工会議所若しくは商工会議所を構成員とする 団体、関係する地方公共団体又は支援機関と連携し、当該事業を実施できる広域的な支援体制 を構築すること。 小規模事業者をめぐる新たな経営環境に対応するため、個別相談指導、地域振興のための事 業の実施、後継者育成等人材能力開発の推進等を図るとともに、指導ニーズの高度化、多様化 等に対応するため、専門指導体制の整備、専門的ノウハウ等を有する支援機関等の幅広い知見 を活用し、きめ細かな支援等を行うことで、経営改善普及事業の効果を高めるよう配慮するこ と。 経営改善普及事業を実施するに当たっては、商工業が一般的に市町村の区域を一つの経済圏 として発達していることを踏まえ、地方公共団体からの予算措置を活用しつつ、特にその地区 を管轄する地方公共団体と調和した経営改善普及事業を実施すること。 経営改善普及事業は、原則として商工会又は商工会議所の当該地区内(広域的な支援体制を 構築する場合は、関係する複数の商工会又は商工会議所の当該地区内)の小規模事業者を対象 とすること。 経営改善普及事業を担当する職員がその事業に専念することができるよう、他の役職員によ る支援、一般職員の設置、広域指導センターの活用、情報ネットワークの活用等事業環境の整 備を図ること。 個別の相談・指導の実施に際して知り得た小規模事業者の営業上の秘密については、道義上 の責任であり、また、事後の経営改善普及事業の円滑な実施の大前提でもあることから、その 保持を厳守すること。 支援に係るナレッジ・ノウハウの蓄積・共有、生成AI等のデジタルツールや公的機関等が 提供する支援ツールの活用等を行い、支援の質の向上や業務効率化を図ること。 事業活動に影響を与える国等の制度に係る情報、 優良な取組や支援事例に係る情報等について、 インターネット(SNSや動画サイトも含む。 ) やマスメディア、広報媒体等の多種多様な手法 を活用し、必要な情報が地域の小規模事業者に十分に行き渡るものとすること。また、フリー ランスや店舗を持たない事業主体に対する情報提供にも努めること。 第二近代的経営管理方法の導入等経営管理に関する指導に関する事項 商工会及び商工会議所は、小規模事業者自身が経営に必要なリテラシーを高め、自ら策定した 経営戦略に基づく取組を実施し、自律的に経営管理を実施できるよう、経営改善指導をするに当 たっては、以下の点につき留意する必要がある。また、小規模事業者の経営戦略の策定を促すた め、各種支援策を活用すること。 1.先ずは小規模事業者自身が金融、会計、税務等に関する基礎的な知識を有するとともに、帳簿 の整理等を通じて経営に係る情報を参照できる状態となるよう支援すること。 2.経営改善指導は、記帳の代行等が目的ではなく、電子帳簿、電子取引、電子契約、電子申告等 に対応したソフトウェアやクラウドサービスの活用も含め、小規模事業者が自社の経営管理とし て自律的かつ継続的に実施できる環境の整備を支援すること。 3.金融、会計、税務のほか、経営戦略、労務管理、知的資産、知的財産、デジタル等の経営管理 に係る経営者のリテラシーの向上を支援すること。 4.省力化投資やデジタルツールの活用等を含め、労働環境の整備、人材の確保・育成、業務効率 化、生産性向上に関する支援を行うこと。 第三事業継続力強化に寄与する情報の提供等に関する事項 商工会及び商工会議所が行う経営改善普及事業のうち、事業継続力強化に寄与する小規模事業 者への情報の提供等事業継続力強化支援事業(法第五条第一項に規定する事業継続力強化支援事 業をいう。以下同じ。)を行うに当たっては、以下の点につき留意する必要がある。 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十条第一項に基づく都道府県地域 防災計画及び第四十二条第一項に基づく市町村地域防災計画を踏まえて、商工会又は商工会議 所の地区を所管する市町村(特別区を含む。以下「関係市町村」という。)と共同して事業継続 力強化支援計画(法第五条第一項に規定する事業継続力強化支援計画をいう。以下同じ。)の策 定及び見直しを行うこと。 事業継続力強化支援計画の作成に当たっては、地域の実情を踏まえ、関係市町村の商工行政 及び防災行政と連携し、事前に都道府県と相談した上で、関係市町村の地域防災計画等を踏ま えた内容とすること。 1.事業継続力強化支援の内容 事業継続力強化支援は、主として以下の各項目に掲げるものとする。 地区内の小規模事業者の事業継続力強化の取組状況等の把握 地区内の小規模事業者に対する、地方公共団体が提供するハザードマップや国が提供する全 国地震動予測地図等を活用した、事業活動に影響を与える自然災害等のリスクの認識に向けた 注意喚起 損害保険の加入等の自然災害等が事業活動に与える影響の軽減に資する取組や対策の普及啓 発、中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)に基づく事業継続力強化計画認定制度 をはじめとした各種制度の情報の提供 地区内の小規模事業者による事業継続力強化計画(中小企業等経営強化法第五十六条第一 項に規定する事業継続力強化計画をいう。以下同じ。)及び連携事業継続力強化計画(中小企業 等経営強化法第五十八条第一項に規定する連携事業継続力強化計画をいう。以下同じ。)並びに 事業継続計画(BCP)の策定のための普及啓発 地区内の小規模事業者による事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画並びに事業継 続計画(BCP)の策定及び見直しに関する指導及び助言 地区内の事業継続力強化に取り組む小規模事業者に対するフォローアップの実施 地区内の事業継続力強化に関する知見の共有 2.事業継続力強化支援計画の内容 商工会又は商工会議所は事業継続力強化支援計画を策定するに当たっては、以下の点を踏まえ る必要がある。 目標の設定 ア.関係市町村の地域防災計画等を踏まえ、地区内における小規模事業者の長期的な振興に資 するよう、地域経済やサプライチェーンの機能維持を意識した目標を設定すること。 イ.経営指導員等(法第五条第五項に規定する経営指導員及び経営改善普及事業を担当する商 工会及び商工会議所の職員をいう。以下第三において同じ。)の人員体制から実現可能な目標 であること。 実施期間 ア.自ら設定した目標を達成するため、実施期間を三年から五年の間で定めて取組の実行 計画を定めること。 イ.事業継続力強化は自然災害等の最新の発生予測や事業継続力強化に関する最新の知見をも とに実施される必要があることから、関係市町村の地域防災計画等の改訂状況も踏まえつつ、 実施期間中であっても定期的に必要な見直しを行うこと。 実施体制 ア.事業継続力強化支援を行う必要がある小規模事業者の状況を、当該商工会又は商工会議所 の地区を管轄する都道府県及び関係市町村と共有し、当該都道府県及び関係市町村の商工行 政や防災行政と連携するものとすること。 イ.支援体制の構築に当たっては、経済圏や地理的条件が複数の市町村にまたがって存在する 場合や、複数の商工会又は商工会議所が、共同で支援を行うことでより効果的な支援が可能 となる場合は、より効率的な支援が実施できるよう広域的な支援体制を構築すること。その 際、小規模事業者や関係機関等から入手した法人情報や個人情報の取扱いについて、必要な 配慮を行うこと。 ウ.事業継続力強化支援事業の実施に当たっては、小規模事業者による自然災害等のリスク認 識の向上、小規模事業者が取り組み可能な事業継続力強化の進捗、事業継続力強化の実効性 を高める取組の実施状況を把握することによって、その効果を測定し、継続的に事業継続力 強化に係る指導及び助言を実施することができる仕組みを構築すること。その際、小企業者 は、企業としての組織体制が必ずしも十分に整っておらず、環境変化にも脆弱な面があるこ とから、支援に当たっては、特に配慮すること。 エ.具体的な取組の企画・実行や目標の設定、達成に向けた進捗管理を行う責任者として、経 営指導員(法第五条第五項に規定する経営指導員をいう。以下第四において同じ。)を選定す るとともに、小規模事業者の事業継続力強化支援を行う経営指導員等を小規模事業者ごとに 設置すること。ただし、広域的な支援体制を構築し、広域的な支援を実施する場合において は、広域経営指導員(施行規則第七条第二項に規定する広域経営指導員をいう。以下第三 において同じ。)を商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会等に設置すること。 オ.広域経営指導員を設置する場合においては、地域の実情に応じて、主として以下の各項目 に掲げる業務を行わせるものとすること。なお、その業務を行わせるに当たっては、他の商 工会又は商工会議所における先進的な取組を参考にするとともに、広域経営指導員の業務に 関する先進的取組を他の商工会又は商工会議所に積極的に展開すること。 商工会又は商工会議所における事業継続力強化支援計画(二以上の商工会若しくは商工会 議所が共同して策定する同計画又は複数の同計画を含む。)の策定、管理及び実行 の実施に当たって、必要となる複数の商工会又は商工会議所、地方公共団体及び他の支 援機関との円滑な連携の促進 他の経営指導員に対する効果的かつ適切な指導及び助言 カ.事業継続力強化支援計画の実施状況については、定量的な指標をもって把握し、評価を行 う仕組みを構築すること。 キ.関係市町村における独自の施策により商工会又は商工会議所の負担の増加が見込まれる場 合は、当該関係市町村に対して、担当する職員の追加配置等の必要性を説明し、協力を求め ること。 ク.経営指導員等の資質向上(デジタルツールの活用、ブランディング戦略、SNS活用など の広報戦略、知的財産の保護、起業・創業、事業承継等)に係る体制整備や自発的な知識習 得の促進、有為な人材の確保に努めるとともに、支援ノウハウを組織内で共有する体制の整 備をすること。 商工会又は商工会議所及び関係市町村以外の者との連携 ア.事業継続力強化支援事業を効果的かつ適切に実施するため、地方公共団体に加え、他の商 工会又は商工会議所、金融機関、保険会社、他の支援機関、公益法人、NPO及び専門家、 地域の大企業や中小企業等とも連携し、各地区における小規模事業者の事業継続力強化の状 況等に関して情報交換を行うことを通じてネットワーク構築に努めること。 イ.連携する者それぞれの役割を明確にし、最も効果的に小規模事業者の支援を行うことがで きるようにすること。 ウ.小規模事業者が他社と連携して実施する、原材料や人員といった経営資源を融通し合う、 あるいは、自然災害等発生後に相互に代替生産を行うといった取組について、必要に応じて 複数の商工会又は商工会議所が連携して取り組むこと。 第四技術の向上、新たな事業の分野の開拓等に寄与する情報の提供等に関する事項 商工会及び商工会議所が、経営の発達に特に資する取組を進める小規模事業者に対して、経営 改善普及事業のうち小規模事業者の経営の発達に特に資する経営発達支援事業(法第七条第一項 に規定する経営発達支援事業をいう。以下同じ。)を行うに当たっては、以下の点につき留意する 必要がある。 関係市町村と共同して経営発達支援計画(法第七条第一項に規定する経営発達支援計画をい う。以下同じ。)の策定及び見直しを行うこと。 経営発達支援計画の作成に当たっては、経営資源・地域資源の活用や地域課題の解決等によ り新たに喚起・獲得し得る需要の調査、検討を行い、事前に都道府県や地方経済産業局と相談 した上で、関係市町村における産業ビジョン等を踏まえた内容とすること。 1.経営発達支援の内容 経営発達支援は、主として以下の各項目に掲げる、商工会又は商工会議所が実施する事業であっ て、小規模事業者の技術の向上、新たな事業の分野の開拓その他の小規模事業者の経営の発達に 特に資するもの(業務効率化や生産性向上、人材の育成・確保、起業・創業及び事業承継等を伴 う事業を含む。)とする。 小規模事業者の販売する商品又は提供する役務の内容、保有する技術又はノウハウ、従業員 又は財産等の経営資源の内容、財務の内容その他の経営状況の分析 経営状況の分析結果に基づき、需要を見据えた事業計画を策定及び見直しをするための指 導・助言、当該事業計画に従って行う事業の実効性向上に必要な指導及び助言 小規模事業者の販売する商品又は提供する役務の需要動向、各種調査を活用した地域の経済 動向や経営資源・地域資源の活用や地域課題の解決等により新たに喚起・獲得し得る需要に関 する情報の収集、整理、分析及び提供 小規模事業者が事業計画に従って行う需要の開拓に寄与することを目的としたSNSやプレ スリリース等の広報手法、商談会や展示会等を用いたブランド形成・マーケティング、需要の 開拓、電子商取引等の活用手法の教授 2.経営発達支援計画の内容 商工会又は商工会議所は、経営発達支援計画を策定するに当たっては、以下の点を踏まえる必 要がある。 目標の設定 ア.関係市町村の産業ビジョン等を踏まえ、小規模事業者を支援することによる地域経済の活 性化への裨益、地区内の小規模事業者の長期的な振興を意識し、経営資源・地域資源の活用 や地域課題の解決等により新たに喚起・獲得し得る需要規模を見据えつつ、重点的に経営発 達支援を行うべき業種やエリア、小規模事業者を具体的に想定した目標を設定すること。 イ.経営指導員等(法第七条第五項に規定する経営指導員及び経営改善普及事業を担当する商 工会及び商工会議所の職員をいう。以下第四において同じ。)の人員体制から実現可能な目標 であること。 実施期間 ア.自ら設定した目標を達成するため、実施期間を三年から五年の間で定めて取組の実行 計画を定めること。 イ.関係市町村の産業ビジョン等の改訂状況も踏まえつつ、実施期間中であっても定期的に必 要な見直しを行うこと。 実施体制 ア.地域経済の課題及び経営発達支援を行う小規模事業者の状況を、当該商工会又は商工会議所 の地区を管轄する都道府県及び関係市町村と共有し、当該都道府県及び関係市町村の商工行 政や都市計画等と連携するものとすること。 イ.支援体制の構築に当たっては、経済圏が複数の市町村にまたがって存在する場合や、複数 の商工会又は商工会議所が、共同で支援を行うことでより効果的な支援が可能な場合は、よ り効率的な支援が実施できるよう広域的な支援体制を構築すること。その際、小規模事業者 や関係機関等から入手した法人情報や個人情報の取扱いについて、必要な配慮を行うこと。 ウ.小規模事業者に対して支援を行うに当たっては、その支援に係る拠点機能を強化しつつ、 その経営の自走化を目指し、事業計画の策定、進捗の確認、効果検証、継続的な経営に係る 指導及び助言を実施することができる仕組みを構築すること。その際、小企業者は、企業と しての組織体制が必ずしも十分に整っておらず、環境変化にも脆弱な面があることから、支 援に当たっては、特に配慮すること。 エ.具体的な取組の企画・実行や目標の設定、達成に向けた進捗管理を行う責任者として、経 営指導員(法第七条第五項に規定する経営指導員をいう。以下第四において同じ。)を選定す るとともに、小規模事業者の経営発達支援を行う経営指導員等を小規模事業者ごとに設置す ること。ただし、広域的な支援体制を構築し、広域的な支援を実施する場合においては、広 域経営指導員(施行規則第七条第二項に規定する広域経営指導員をいう。以下第三において 同じ。)を商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会等に設置すること。 オ.広域経営指導員を設置する場合においては、地域の実情に応じて、主として以下の各項目 に掲げる業務を行わせるものとすること。なお、その業務を行わせるに当たっては、他の商 工会又は商工会議所における先進的な取組を参考にするとともに、広域経営指導員の業務に 関する先進的取組を他の商工会又は商工会議所に積極的に展開すること。 商工会又は商工会議所における経営発達支援計画(二以上の商工会若しくは商工会 議所が共同して策定する同計画又は複数の同計画を含む。)の策定、管理及び実行 の実施に当たって、必要となる複数の商工会又は商工会議所、地方公共団体及び他の支 援機関との円滑な連携の促進 他の経営指導員に対する効果的かつ適切な指導及び助言 カ.経営発達支援計画の実施状況については、定量的な指標をもって把握し、評価を行う仕組 みを構築すること。 キ.関係市町村における独自の施策により商工会又は商工会議所の負担の増加が見込まれる場 合は、当該関係市町村に対して、担当する職員の追加配置等の必要性を説明し、協力を求め ること。 ク.経営指導員等の資質向上(デジタルツールの活用、ブランディング戦略、SNS活用など の広報戦略、知的財産の保護、起業・創業、事業承継等)に係る体制整備や自発的な知識習 得の促進、有為な人材の確保に努めるとともに、支援ノウハウを組織内で共有する体制の整 備をすること。 商工会又は商工会議所及び関係市町村以外の者との連携 ア.経営発達支援事業を効果的かつ適切に実施するため、地方公共団体に加え、他の商工会 又は商工会議所、金融機関、保険会社、他の支援機関、公益法人、NPO及び専門家、地域 の大企業や中小企業等とも連携し、各地区における小規模事業者の経営発達支援の状況等に 関して情報交換を行うことを通じてネットワーク構築に努めること。 イ.連携する者それぞれの役割を明確にし、最も効果的に小規模事業者の支援を行うことがで きるようにすること。 ウ.小規模事業者が他社と連携して実施する、営業協力や共同調達、持ち株会社化による事務 集約や戦略立案の高度化といった生産性向上に資する取組について、必要に応じて複数の商 工会又は商工会議所が連携して取り組むこと。 第五商工会又は商工会議所がその地区内における商工業の総合的な改善発達のために行う他の事業 (地域経済の活性化に係るものを含む。)との関係に関する事項 商工会又は商工会議所が、その地区内における商工業の総合的な改善発達のために行う他の事 業を行うに当たっては、以下の点につき留意する必要がある。 1.小規模事業者の経営活動は地域の経済環境と密接な関連を有しており、地域経済の活性化に係 る取組(地域のブランド化、地域住民の利便性向上、地域課題の解決等に係る取組)は新たな需 要の喚起・獲得の機会ともなり得ることから、小規模事業者の経営の改善発達はこのような取組 と一体となって、あるいは協調して図っていくこと。 2.経営改善普及事業を実施するに当たっては、商工会又は商工会議所が地区内の商工業の総合的 な改善発達のために行う他の事業及び関係市町村が講じる事業と有機的連携を図りつつ実施する こと。 第六商工会連合会又は日本商工会議所が行う商工会又は商工会議所に対する指導及び情報の提供そ の他必要な支援等に関する事項 1.都道府県商工会連合会が行う商工会指導事業 都道府県商工会連合会が行う商工会指導は、主として以下の項目に掲げるものとする。 都道府県商工会連合会は、傘下の商工会が行う経営改善普及事業に関し、指導を行うこと。 広域的な視野の下、デジタルツールを活用しつつ、その有する高度・多様な支援に係るナレッ ジ・ノウハウを活用して、事業継続力強化支援計画及び経営発達支援計画の作成、それら計画 に基づく事業の実施を積極的に指導し、支援していくこと。また、消費者ニーズの動向などの 情報、ビジネス展開に関する支援ノウハウ等の情報を提供すること。 商工会指導事業の実施に当たって、広域経営指導員(施行規則第二条第二項及び第七条第二 項に規定する広域経営指導員をいう。以下同じ。)に中心的な役割を担わせること。 近時における指導ニーズの高度化、多様化に対応して、広域指導センターを拠点とする指導 体制による専門的な指導の重要性にかんがみ、商工会が行う事業を支援するための各種情報(国 や地方公共団体、支援機関の支援施策に係る情報、小規模事業者の事業活動に影響を与える国 等の制度に係る情報、優良な取組や支援事例等)の収集・提供体制を整備するとともに、商工 会や地方公共団体、他の支援機関と十分な連携を図るよう努めるものとする。 2.全国商工会連合会又は日本商工会議所が行う都道府県商工会連合会等指導事業等 全国商工会連合会又は日本商工会議所が行う都道府県商工会連合会等指導等は、主として以下 の項目に掲げるものとする。 全国商工会連合会又は日本商工会議所は、商工会若しくは都道府県商工会連合会又は商工会 議所が行う経営改善普及事業に関する指導、経営改善普及事業に関する情報の収集及び提供又 は調査研究、体制の補完、全国の事業継続力強化支援事業及び経営発達支援事業における先進 事例(広域的な取組を含む。)の共有等の支援を実施すること。 全国にわたる広域的な視野の下、デジタルツールを活用しつつ、その有する高度・多様な支 援に係るナレッジ・ノウハウを活用して、事業継続力強化支援計画及び経営発達支援計画の作 成、それら計画に基づく事業の実施を積極的に指導し、支援していくこと。また、需要の動向 などの情報、ビジネス展開に関する支援ノウハウ等の情報を提供すること。 3.商工会指導事業及び商工会連合会等指導事業の実施に当たって留意すべき点 都道府県商工会連合会及び全国商工会連合会並びに日本商工会議所は以上の事業の実施に当た り以下の点につき留意する必要がある。 経営改善普及事業に関し、傘下団体に対する指導を円滑かつ効果的に実施するため、当該傘 下団体組織全体の実態把握に努めること。 周辺の複数の商工会又は商工会議所による広域にわたる経営改善普及事業に対しても十分な 指導を行うこと。とりわけ、広域的な事業継続力強化支援事業及び経営発達支援事業について は、広域経営指導員が中心となり、他の経営指導員へのサポートや支援ノウハウの共有等を行 うことで、商工会及び商工会議所の支援の質の向上や業務効率化につなげること。 指導事業の実施に当たっては、特定の傘下団体に偏らないよう配慮するとともに、都道府県 商工会連合会に属する商工会指導員及び全国商工会連合会又は日本商工会議所に属する中央指 導員にあっては、絶えず傘下団体の行う経営改善普及事業の実績、効果等の把握に努めること。 第七その他小規模事業者の経営の改善発達に関する重要事項 以上のほか、商工会等が小規模事業者の経営の改善発達に関する事業を実施するに当たり以下 の点につき留意する必要がある。 1.経営改善普及事業を担当する職員の資質の向上 経営改善普及事業を担当する職員は担当する地区内の小規模事業者の実態の把握や指導効果の 測定などを行うことにより、自らも経営改善普及事業の具体的な実施方法の改善、指導技術の向 上に努めるとともに、国や都道府県等が実施する研修を積極的に受講し、人事交流等を通じて相 互に資質の向上を図ること。 2.経営改善普及事業の公平性 経営改善普及事業は、主に国及び都道府県からの支援をもとに実施されていることにかんがみ、 行政サービスに類似するものとして、商工会等の会員・非会員を問うことなく行うこと。 3.国、地方公共団体、関係機関等との関係 経営改善普及事業は、直接的には都道府県の指導・監督の下に実施されるものであることを 踏まえ、その事業の実施に当たっては、商工会等の機能が十分に発揮されるように、都道府県 及び関係市町村の理解・協力を得つつ、実施すること。 経営改善普及事業の実施に必要な経営指導員等(法第五条第五項及び第七条第五項に規定す る経営指導員並びに経営改善普及事業を担当する商工会及び商工会議所の職員をいう。)の人件 費や事業費(施設整備費を含む。)に係る補助について、適切な根拠とともに、地方公共団体に 必要性を説明し、協力を求めること。 国、地方公共団体の施策・制度についても積極的に情報収集し、活用するよう努めること。 地方公共団体の政策の方向性に応じ、事業の実施に際して必要とされるノウハウ等を有する 関係機関からも情報収集するとともに、理解、協力が得られるよう努めること。 4.商工会法及び商工会議所法との関係 商工会又は商工会議所が行う経営改善普及事業は、商工会法(昭和三十五年法律第八十九号) 第十一条に規定される商工会の事業又は商工会議所法(昭和二十八年法律第百四十三号)第九条 に規定される商工会議所の事業に該当することから、商工会又は商工会議所が経営改善普及事業 を行うに当たっては、商工会法又は商工会議所法における関係規定を踏まえつつ、事業を実施す ること。