告示の概要
電気通信事業法施行規則の一部改正は、基礎的電気通信役務の範囲に関する第十四条に新たな定義を追加するものである。改正後には、「災害時に避難所等(災害対策基本法に基づく指定避難所等や一時滞在施設を指す)における公衆による電話の利用を確保するため、地方公共団体の要請に基づき電気通信事業者が避難所等の収容人員おおむね百名当たり一回線の基準で設置する固定端末系伝送路設備を用いた音声伝送役務」が基礎的電気通信役務に含まれることが明記された。これにより、災害時における通信インフラの確保が強化される。
解決される課題・利点
- この省令改正は、災害発生時における避難所等での公衆電話の利用確保という重要な課題を解決することを目的としています。
- これまでの制度では、災害時における通信インフラの確保は各電気通信事業者の自主的な取り組みに依存する部分が大きく、統一的なサービス水準が保証されていませんでした。
- 特に、大規模災害時には携帯電話網の輻輳や基地局の損壊により通信手段が途絶することが多く、安否確認や情報収集が困難になるという問題が頻繁に発生していました。
- 今回の改正により、基礎的電気通信役務の範囲に、地方公共団体の要請に基づく避難所等への公衆電話設置が明示的に含まれることで、災害対策基本法に基づく避難所等における最低限の通信手段が法的に保証されることになります。
- これにより、被災者が家族や友人との連絡を取りやすくなり、心理的な安定にも寄与するとともに、災害対策本部と避難者との間の情報伝達も円滑になるため、救援活動の効率化や迅速化にも繋がります。
懸念点・リスク
- この省令改正は災害時通信確保の強化を目指すものではありますが、いくつかの懸念点も内包しています。
- まず、「収容人員おおむね百名当たり一回線の基準」という設置基準が、実際の災害現場で十分な通信容量を確保できるのか疑問が残ります。
- 大規模な避難所では、この基準では多くの人々が同時に通信を必要とする場合に、依然として回線が逼迫する可能性があります。
- また、固定端末系伝送路設備に依存するため、インフラが物理的に損壊した場合には利用不能となるリスクがあり、移動体通信や衛星通信など、より多様な通信手段との連携が必須となります。
- さらに、地方公共団体の「要請に基づき」という点が、要請が遅れたり、予算的な制約から十分な要請が行われなかったりする場合に、設置が滞る可能性も考えられます。
法令情報
- 法令番号
- ○総務省令第六十五号
- 公布日
- 2025/07/01
- 掲載
- 本紙1497 2P
原文
電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令 電気通信事業法施行規則(昭和六十年郵政省令第二十五号)の一部を次のように改正する。 次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分をこれに対応する改正後欄に掲げる規定 の傍線を付した部分のように改める。 改 正 後 (第一号基礎的電気通信役務の範囲) 第十四条 法第七条第一号の総務省令で定め る電話に係る電気通信役務は、次に掲げる もの(卸電気通信役務に該当するものを含 む。)とする。 [一・二略] 二の二 災害時に避難所等(災害対策基本 法(昭和三十六年法律第二百二十三号) 第四十九条の七第一項の規定により指定 された指定避難所その他の同法第三十三 条の二第一項第一号に規定する避難所又 は災害時に帰宅することが困難な者が一 時的に滞在するための施設をいう。以下 この号において同じ。)における公衆によ る電話の利用を確保するために地方公共 団体の要請に基づき電気通信事業者が避 難所等の収容人員おおむね百名当たり一 回線の基準によりあらかじめ設置する固 定端末系伝送路設備を用いて当該電気通 信事業者が提供する音声伝送役務 [三・四略] 備考表中の[ ] の記載は注記である。 改 正 前 (第一号基礎的電気通信役務の範囲) 第十四条 [同上] [一・二同上] 二の二 災害時に避難所等(災害対策基本 法(昭和三十六年法律第二百二十三号) 第四十九条の七第一項の規定により指定 された指定避難所その他の同項に規定す る避難所又は災害時に帰宅することが困 難な者が一時的に滞在するための施設を いう。以下この号において同じ。)におけ る公衆による電話の利用を確保するため に地方公共団体の要請に基づき電気通信 事業者が避難所等の収容人員おおむね百 名当たり一回線の基準によりあらかじめ 設置する固定端末系伝送路設備を用いて 当該電気通信事業者が提供する音声伝送 役務 [三・四同上] 附則 この省令は、災害対策基本法等の一部を改正する法律の施行の日(令和七年七月一日)から施行す る。 総務大臣 村上誠一郎