高重要度
法規的告示
インフラ › 建築
2025/07/18 (号外165)
高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第三十八条第九号の規定に基づき国土交通大臣の定める基準を定める件
告示の概要
高齢者の居住の安定確保法に基づき、高齢者向け賃貸住宅の専用部分および共用部分に関する詳細な建築基準を定める告示。専用部分では、日常生活空間の段差解消(5mm以下)、通路・出入口幅員(780mm/750mm以上)、階段勾配・寸法、手すりの設置基準(高さ700-900mm)、便所・寝室の配置・面積を規定。共用部分では、共用廊下の段差解消・手すり、共用階段の寸法・手すり、エレベーターの設置基準(出入口幅員800mm以上、ホール空間1500mm四方)などを詳細に定める。既存住宅の場合の特例も設ける。本告示は令和7年10月1日から施行され、関連する旧告示は廃止される。
解決される課題・利点
- この告示は、高齢者が安全で快適に居住できる賃貸住宅の具体的な建築基準を詳細に定めることで、高齢者向け住居のバリアフリー化と質の向上を促進する。
- 段差解消、適切な通路幅員、手すりの設置、エレベーターの確保といった基準は、高齢者の身体機能の低下に対応し、転倒事故の防止や移動の利便性を高める。
- これにより、高齢者は自立した生活を長く続けられるようになり、介護負担の軽減にも寄与する。
- また、既存住宅の特例や加齢対応構造等に関する柔軟な規定は、供給事業者にとって過度な負担とならないよう配慮しつつ、質の確保を図る。
- これらの基準は、高齢者の住生活の安定を保障し、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための重要な基盤となる。
懸念点・リスク
- 非常に詳細な基準が設けられている一方で、その細かさから、設計・施工のコストが増大し、高齢者向け賃貸住宅の供給価格に影響を与える可能性がある。
- 特に、既存住宅を改修して適合させる場合、改修費用が膨大になり、事業者の参入意欲を削ぐ懸念がある。
- また、階段の勾配や手すりの高さなど、個別の身体状況に合わせた調整が必要な場合もあるため、一律の基準が全ての高齢者に最適とは限らない。
- エレベーターの設置基準も厳格であり、小規模な共同住宅などでは設置が物理的・経済的に困難なケースも想定される。
- さらに、加齢対応構造等に関する性能評価は、都道府県知事の裁量に委ねられる部分があり、その評価基準の透明性や一貫性が担保されるか、運用上の課題となる。
法令情報
- 法令番号
- 国土交通省告示第五百三十九号
- 公布日
- 2025/07/18
- 掲載
- 号外165 18P~21P
原文
高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第38条第9号の規定に基づき国土交通大臣の定 める基準 第一条 高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(次条において「規則」という。)第38条第9 号の国土交通大臣の定める基準は、次に掲げるものとする。 1 住宅の専用部分に係る基準 (1) 段差 イ 日常生活空間 (高齢者の利用を想定する一の主たる玄関、便所、浴室、脱衣室、洗面所、寝室(以下「特定寝室」という。)、食事室及び特定寝室の存する階(接地階 (地上階のうち最も低い位置に存する階をいう。以下同じ。)を除く。)にあるバルコニー、特定寝室の存する階にあるすべての居室並びにこれらを結ぶ一の主たる経路をいう。以下同じ。)内の床が、段差のない構造(5mm以下の段差が生じるものを含む。以下同じ。)であること。ただし、次に掲げるものにあっては、この限りでない。 □ 日常生活空間外の床が、段差のない構造であること。ただし、次に掲げるものにあっては、この限りでない。 ① 玄関の出入口の段差 ② 玄関の上がりかまちの段差 ③ 勝手口等の出入口及び上がりかまちの段差 ④ バルコニーの出入口の段差 ⑤ 浴室の出入口の段差 ⑥ 室内又は室の部分の床とその他の部分の床の90mm以上の段差 (2) 通路及び出入口の幅員 イ 日常生活空間内の通路の有効な幅員が780mm (柱等の箇所にあっては750mm)以上であること。 (3) 階段 住戸内の階段の各部の寸法は、次の各式に適合していること。ただし、ホームエレベーターが 設けられている場合にあっては、この限りではない。 イ勾配が22/21以下であり、けあげの寸法の2倍と踏面の寸法の和が550mm以上650mm以下であ り、かつ、踏面の寸法が195mm以上であること。 (4) 手すり イ手すりが、次の表の(い)項に掲げる空間ごとに、(3)項に掲げる基準に適合していること。ただ し、便所、浴室、玄関及び脱衣室にあっては、日常生活空間内に存するものに限る。 転落防止のための手すりが、次の表の(い)項に掲げる空間ごとに、(3)項に掲げる基準に適合し ていること。ただし、外部の地面、床等からの高さが1m以下の範囲又は開閉できない窓その 他転落のおそれのないものについては、この限りでない。 (5) 部屋の配置 日常生活空間のうち、便所が特定寝室の存する階にあること。 (6) 便所及び寝室 イ 日常生活空間内の便所が次のいずれかに掲げる基準に適合し、かつ、当該便所の便器が腰掛 け式であること。 □ 特定寝室の面積が内法寸法で9㎡以上であること。 2 住宅の共用部分に係る基準 (1) 共用廊下 住戸から建物出入口、共用施設、他住戸その他の日常的に利用する空間に至る少なくとも一の 経路上に存する共用廊下が、次に掲げる基準に適合していること。 イ 共用廊下の床が、段差のない構造であること。 ハ手すりが共用廊下(次の①及び②に掲げる部分を除く。)の少なくとも片側に、かつ、床面か らの高さが700mmから900mmの位置に設けられていること。 ① 住戸その他の室の出入口、交差する動線がある部分その他やむを得ず手すりを設けること のできない部分 ② エントランスホールその他手すりに沿って通行することが動線を著しく延長させる部分 二直接外部に開放されている共用廊下 (1階に存するものを除く。)にあっては、次に掲げる基 準に適合していること。 (2) 主たる共用の階段 次に掲げる基準に適合していること。 イ 次の①から④まで(住戸のある階においてエレベーターを利用できる場合にあっては、③及 び④) に掲げる基準に適合していること。 転落防止のための手すりが、腰壁等の高さが650mm以上800mm未満の場合にあっては床面 の先端から800mm以上の高さに、腰壁等の高さが650mm未満の場合にあっては腰壁等から 800mm以上の高さに設けられていること。 ハ住戸のある階においてエレベーターを利用できない場合にあっては、当該階から建物出入口 のある階又はエレベーター停止階に至る主たる共用の階段の有効幅員が900mm以上であること。 (3) エレベーター 住戸が建物出入口の存する階にある場合を除き、住戸からエレベーター又は共用の階段(1階 分の移動に限る。)を利用し、建物出入口の存する階まで到達でき、かつ、エレベーターを利用せ ずに住戸から建物出入口に到達できる場合を除き、住戸からエレベーターを経て建物出入口に至 る少なくとも一の経路上に存するエレベーター及びエレベーターホールが、次に掲げる基準に適 合していること。 イエレベーター及びエレベーターホールの寸法が、次に掲げる基準に適合していること。 ① エレベーターの出入口の有効な幅員が800mm以上であること。 ② エレベーターホールに一辺を1,500mmとする正方形の空間を確保できるものであること。 建物出入口からエレベーターホールまでの経路上の床が、段差のない構造であること。 ハ建物出入口とエレベーターホールに高低差が生じる場合にあっては、次に掲げる基準に適合 していること。 (4) 便所及び浴室 共同居住型賃貸住宅(賃借人(賃貸人が当該賃貸住宅に居住する場合にあっては、賃借人及び 賃貸人)が共同して利用する居間、食堂、台所その他の居住の用に供する部分を有する賃貸住宅 をいう。次条において同じ。)にあっては、共用部分に存する便所及び浴室が前項に掲げる基準に 適合していること。 第二条 終身建物賃貸事業の用に供する賃貸住宅が既存住宅である場合における規則第38条第9号の 国土交通大臣の定める基準は、前条の規定にかかわらず、次に掲げるものとする。 1 住宅の専用部分に係る基準 手すりが、次の表の(い)項に掲げる空間ごとに、(3)項に掲げる基準に適合していること。ただし、 便所及び浴室にあっては、日常生活空間内に存するものに限る。 2 住宅の共用部分に係る基準 共同居住型賃貸住宅にあっては、手すりが、次の表の(い)項に掲げる空間ごとに、(3)項に掲げる基 準に適合していること。 3 建築材料又は構造方法により、前2項の規定により難い部分のある加齢対応構造等である構造及 び設備であって、前2項の基準に適合する加齢対応構造等と同等以上の性能を有すると認められる ものについては、都道府県知事(独立行政法人都市再生機構又は都道府県が終身賃貸事業者である 場合にあっては、国土交通大臣)は、前2項の基準に適合するものとすることができる。 附則 この告示は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する 法律(令和六年法律第四十三号)の施行の日(令和七年十月一日)から施行する。 (関係告示の廃止) 次に掲げる告示は、廃止する。 一 高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第三十四条第一項第九号の規定に基づき国土交 通大臣の定める基準(平成十三年国土交通省告示第千二百九十六号) 二 高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第三十四条第二項第二号の規定に基づき国土交 通大臣の定める基準(平成三十年国土交通省告示第千八十八号)