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高重要度 法規的告示 医療
Mon Nov 10 2025 00:00:00 GMT+0900 (Japan Standard Time) (号外247)

○厚生労働省告示第二百九十三号

告示の概要

医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十七条第一項の規定に基づき、供給確保医薬品等の安定的な供給の確保を図るための指針を次のように定め、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和七年法律第三十七号)の施行の日(令和七年十一月二十日)から適用する。 令和七年十一月十日 厚生労働大臣 上野賢一郎 供給確保医薬品等の安定的な供給の確保を図るための指針 第一 供給確保医薬品等の安定的な供給の確保に関する基本的な方向 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十七条第四項に規定する供給確保医薬品は、製造に特殊な技術を要する、原薬の製造工程の一部を特定の国に依存している等の潜在的な供給不足のリスクを抱える医薬品である一方で、その用途に係る疾病にかかった場合の病状の程度が重く、かつ、代替性のある特定医薬品又は治療方法の確保が困難であり、特にその安定的な供給の確保の必要性が高いものである。このため、同法第五章第七節(適切な医療を提供するための医薬品の供給の確保)においては、供給確保医薬品等(供給確保医薬品及びその製造に必要不可欠であると認められる原料又は材料をいう。以下同じ。)の供給不足を未然に防止するための施策及び供給不足が発生した場合における措置について規定しているところであり、これらの措置を次の第二から第四までに示す方針のとおり、迅速かつ適切に実施することで、供給確保医薬品等の安定的な供給を確保していくこととする。 第二 供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するための施策に関する事項 一 供給確保医薬品等の安定的な供給の確保のための措置を適時に講じていくためには、それぞれの品目について平時から市場全体の需給状況を把握し、適時にその情報を関係者と共有していくことが重要である。このため、厚生労働大臣は、医療法第三十八条の四又は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第五十三条の二十二第一項の規定に基づき、対象となる品目を指定した上で、平時から、製造販売業者、製造業者又は卸売販売業者その他の関係者から供給状況等(生産量、在庫量、出荷量、生産計画等)の報告を求めることとし、市場全体の需給状況を評価、分析した上で、必要な情報を関係者と共有していくものとする。なお、これらの措置を講じるに当たっては、システム化を進める等、報告等が必要となる関係者の事務負担の軽減に努めるものとする。 二 供給確保医薬品のうち、特に医療上の必要性が高く、供給不足が発生した場合に、手術が実施できない等、医療現場に広く混乱が生じるおそれがある医薬品である重要供給確保医薬品(医療法第三十八条第一項に規定する重要供給確保医薬品をいう。以下同じ。)は、他の供給確保医薬品と比較して、特に供給不足の発生を未然に防止するための措置を講ずる必要性が高いものである。このため、厚生労働大臣は、サプライチェーン調査(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)第四十八条第一項の規定に基づく調査その他のサプライチェーン上の課題に関する調査をいう。以下同じ。)の結果等から合理的に判断して、重要供給確保医薬品等(重要供給確保医薬品及びその製造に必要不可欠であると認められる原料又は材料をいう。以下同じ。)について、その供給が不足する蓋然性があり、かつ、供給不足が生じた場合、適切な医療の提供が困難になり、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、医療法第三十八条第一項の規定に基づき、当該重要供給確保医薬品等の製造販売業者又は製造業者に対し、次に掲げる事項をはじめとする供給不足の発生を未然に防止するための措置に関する供給不足防止措置計画(同項に規定する供給不足防止措置計画をいう。以下同じ。)を作成し、届け出るべきことを指示するものとする。当該指示を受けた製造販売業者又は製造業者は、製造の委託先の事業者や原料又は材料の製造を行う事業者等の関係者と連携しつつ、当該指示の内容に即した供給不足防止措置計画を作成し、厚生労働大臣に届け出るとともに、同条第四項の規定に基づき、当該供給不足防止措置計画に沿って必要な措置を講じるものとする。 イ 原薬をはじめとする原料又は材料の供給源の多様化 ロ 輸送経路の複線化 ハ 一定の在庫の備蓄 二 その他必要な措置 三 厚生労働大臣は、この指示に従って届出がされた供給不足防止措置計画について、その内容が当該指示の対象となる重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するための措置として不十分である等、特にその変更が必要と認める場合は、医療法第三十八条第二項の規定に基づき、当該供給不足防止措置計画の変更を指示するものとする。 四 厚生労働大臣は、二の指示を受けた製造販売業者若しくは製造業者が、正当な理由がなく当該指示に従わなかった場合又は二若しくは三の指示を受けた製造販売業者若しくは製造業者が、正当な理由がなくその届出に係る供給不足防止措置計画に沿って供給不足の発生を未然に防止するための措置を行っていないと認める場合には、医療法第三十八条第五項の規定に基づき、その旨を厚生労働省ホームページ等で公表するものとする。 また、二又は三の指示を受けたにもかかわらず供給不足防止措置計画を届け出なかった者は、同法第八十九条第四号の規定に基づき、二十万円以下の罰金に処するものとする。 五 厚生労働大臣は、医療法第三十八条第一項の指示を検討する場合には、まずは、同法第三十八条の五の規定に基づく協力要請を行うことにより、製造販売業者又は製造業者に対して供給不足の発生を未然に防止するための措置を講ずることを促すものとする。 第三 供給確保医薬品等の供給不足が発生した場合における製造又は輸入に関する事項 一 供給確保医薬品の中でも重要供給確保医薬品に当たるものは、その性質上、安定的な供給を確保する必要性が他の供給確保医薬品に比して特に高いものである。このため、厚生労働大臣は、重要供給確保医薬品等について供給不足が発生し、又はその蓋然性が特に高く、適切な医療の提供が困難になることで、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、医療法第三十八条の二第一項の規定に基づき、当該重要供給確保医薬品等の製造販売業者又は製造業者に対し、当該重要供給確保医薬品等の増産又は輸入の拡大に向けた当該重要供給確保医薬品等の製造又は輸入に関する製造等計画(同項に規定する製造等計画をいう。以下同じ。)を作成し、届け出るべきことを指示するものとする。当該指示を受けた製造販売業者又は製造業者は、製造の委託先の事業者や原料又は材料の製造を行う事業者等の関係者と連携しつつ、当該指示の内容に即した製造等計画を作成し、厚生労働大臣に届け出るとともに、同条第四項の規定に基づき、当該製造等計画に沿って製造又は輸入を行うものとする。 二 厚生労働大臣は、この指示に従って届出がされた製造等計画について、その内容が当該指示の対象となる重要供給確保医薬品等の供給不足を改善するための措置として不十分である等、特にその変更が必要だと認める場合は、医療法第三十八条の二第二項の規定に基づき、当該製造等計画の変更を指示するものとする。 三 厚生労働大臣は、二の指示を受けた製造販売業者若しくは製造業者が、正当な理由がなく当該指示に従わなかった場合又は一若しくは二の指示を受けた製造販売業者若しくは製造業者が、正当な理由がなくその届出に係る製造等計画に沿って製造又は輸入を行っていないと認める場合には、医療法第三十八条の二第五項の規定に基づき、その旨を厚生労働省ホームページ等で公表するものとする。 また、一又は二の指示を受けたにもかかわらず製造等計画を届け出なかった者は、同法第八十九条第五号の規定に基づき、二十万円以下の罰金に処するものとする。 四 厚生労働大臣は、医療法第三十八条の二第一項の指示を検討する場合には、まずは、同法第三十八条の二第一項の規定に基づく協力要請を行うことにより、製造販売業者又は製造業者に対して増産又は輸入の拡大を促すものとする。 第四 その他供給確保医薬品等の安定的な供給の確保に関する重要事項 関係者との調整 第二及び第三の措置は、供給確保医薬品等の安定的な供給を図る上で重要な措置である一方、製造販売業者、製造業者等に対し、一定の対応を求める措置が含まれる。これらの措置は、関係者の事業活動に対する制約を伴う場合があるが、この制約により、製造販売業者、製造業者等が供給確保医薬品等を含む医薬品等の製造を行うことができない事態は起きてはならず、これらの措置の実施に際しては、事前に製造販売業者、製造業者等の関係者と十分に協議するとともに、当該関係者に対して過剰な負担を課すことのないよう、対象となる供給確保医薬品等の性質、供給不足により生じる国民の生命及び健康への影響の大きさ、供給不足が解消されるまでに要すると見込まれる期間、関係者における自主的な取組の実施状況等を考慮し、必要最小限の範囲で実施するものとする。 二 財政上の措置等 国は、医療法第三十八条第一項又は第三十八条の二第一項の指示を行う際、必要と認める場合は、同法第三十八条の三の規定に基づき、当該指示を受けた製造販売業者又は製造業者に対する必要な財政上の措置その他の措置を講ずることができる。

解決される課題・利点

  • 医療法に基づき、厚生労働大臣が供給確保医薬品等の安定供給を図るための指針を定めるもので、令和7年11月20日から適用される。
  • この指針は、供給不足のリスクを抱える医薬品の安定供給確保を目的とし、主に以下の措置を規定している。
  • 1. **供給不足の未然防止**: 厚生労働大臣は、指定品目について市場の需給状況を平時から把握し、製造販売業者等に供給状況の報告を求め、情報を関係者と共有する。
  • 特に重要供給確保医薬品については、サプライチェーン調査の結果などに基づき、供給不足防止措置計画の作成・提出を指示し、原料供給源の多様化、輸送経路の複線化、在庫備蓄などを求める。
  • 2. **供給不足発生時の対応**: 供給不足が発生し、または蓋然性が高い重要供給確保医薬品について、増産または輸入の拡大に向けた製造等計画の作成・提出を製造販売業者等に指示する。

懸念点・リスク

  • 医薬品の安定供給確保に関する包括的な枠組みを提供することで、国民の生命と健康を守る上で不可欠な医療提供の持続可能性を向上させる。
  • 特に、製造に特殊な技術を要する、あるいは特定の国に依存する医薬品、または代替薬が少ない医薬品の供給不足リスクを軽減するための予防的措置と発生時の対応策が明文化されている。
  • これにより、医療機関は安定的に必要な医薬品を確保でき、患者は安心して治療を受けられるようになる。
  • また、供給状況の平時からの把握と情報共有、サプライチェーン調査の実施、供給源の多様化、在庫備蓄の義務化といった具体的な施策を通じて、医薬品供給網の脆弱性を低減し、災害や国際情勢の変化に対するレジリエンスを高める。
  • さらに、財政支援の可能性も示されており、製造販売業者への負担軽減と協力体制の構築を促進することで、円滑な供給確保に向けた官民連携が強化される。

法令情報

法令番号
医薬品
公布日
Mon Nov 10 2025 00:00:00 GMT+0900 (Japan Standard Time)
掲載
号外247 17P~18P
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