告示の概要
産業競争力強化法に基づく事業再編の実施に関する指針が改正された。改正内容は、特定剰余金配当を活用した事業再編において、法第31条第1項および第2項に定める特例措置を受けるための要件を追加するものである。具体的には、特定剰余金配当に係る株式等が金融商品取引所に上場されることが、特例措置を受けるための事業再編計画等の認定の条件となる。ただし、株主が特定剰余金配当株式等の売却が困難な場合は適用除外となる。この告示は令和7年7月2日から施行される。
解決される課題・利点
- 本告示の改正は、産業競争力強化法に基づく事業再編を促進し、日本企業の生産性向上と競争力強化を図るという課題解決に貢献します。
- 特に、特定剰余金配当を活用した再編における特例措置の適用要件を明確化することで、企業が安心して戦略的な資本再編を進められるようになります。
- 株式の流動性確保を条件とすることで、特定剰余金配当によって交付された株式が市場で適切に取引され、株主間の公平性が保たれるとともに、市場全体の信頼性を高める効果が期待されます。
- また、事業再編計画の認定プロセスにおける明確なガイドラインは、企業の予見可能性を高め、再編活動を加速させる要因となり得ます。
- これにより、企業はより効率的に不採算事業からの撤退や成長分野への投資転換を行いやすくなり、結果として日本経済全体の活力向上に繋がることが期待されます。
懸念点・リスク
- 本告示の改正には、特定剰余金配当に係る株式等の金融商品取引所への上場を特例措置の条件とすることで、いくつかの懸念点も内包されています。
- まず、上場要件を満たすことが困難な中小企業や、特定の市場ニーズを持たない非公開企業にとっては、本特例措置の恩恵を受けにくいという構造的な問題が生じる可能性があります。
- また、「株主が特定剰余金配当により交付を受ける特定剰余金配当株式等の売却をすることが困難な場合を除く」という除外規定の解釈や適用範囲が曖昧であると、実務上の混乱や不公平感を生む可能性があります。
- この「困難な場合」の判断基準が明確でない場合、個別事案ごとに恣意的な判断がなされるリスクも否定できません。
- さらに、金融市場の状況によっては、上場承認自体に時間がかかったり、特定の株式が市場で十分に評価されない可能性もあります。
法令情報
- 法令番号
- 財務・経済産業省告示第十号
- 公布日
- 2025/07/02
- 掲載
- 本紙1498 2P~3P
原文
産業競争力強化法(平成二十五年法律第九十八号)を実施するため、事業再編の実施に関する指針 の一部を改正する告示を次のように定める。 令和七年七月二日 事業再編の実施に関する指針の一部を改正する告示 財務大臣 加藤勝信 経済産業大臣武藤容治 事業再編の実施に関する指針(平成二十六年財務省・経済産業省告示第一号)の一部を次のように 改正する。 六 その他事業再編に関する重要事項 イ~ニ [略] ホ事業者が事業再編又は特別事業再編を 実施するに当たり、法第三十一条第一項 の規定による会社法第三百九条第二項、 第四百五十九条第一項及び第四百六十条 第一項の規定の適用についての特例措置 並びに法第三十一条第二項の規定による 特例措置を受けようとする場合 事業者は、一の事業再編による生産性 及び財務内容の健全性の向上に関する目 標の設定に関する事項又は三の特別事業 再編による生産性の向上及び財務内容の 健全性の向上並びに四の需要の開拓に関 する目標の設定に関する事項に定める目 標等の必要な要件に加え、特定剰余金配 当に係る会社法第四百五十四条第一項の 規定による決定に係る株主総会又は取締 役会の決議において金融商品取引所が特 定剰余金配当株式等をその売買のため上 場することを承認したことを当該特定剰 余金配当がその効力を生ずることの条件 とする場合その他の特定剰余金配当の効 力が生ずる日の前日までに、又は当該効 力が生ずる日後遅滞なく、特定剰余金配 当株式等が金融商品取引所に上場される ことが予定されている場合(当該事業者 の株主が特定剰余金配当により交付を受 ける特定剰余金配当株式等の売却をする ことが困難な場合を除く。)に限り、法第 三十一条第一項の規定による会社法第三 百九条第二項、第四百五十九条第一項及 び第四百六十条第一項の規定の適用につ いての特例措置並びに法第三十一条第二 項の規定による特例措置を受けることが できる事業再編計画又は特別事業再編計 画の認定(変更の認定を含む。)を受ける ことができるものとする。 附則 この告示は、令和七年七月二日から施行する。